主力製品の6割がヒノキに、国産材プラットフォーム「KISM」を活用
越井木材工業は、防腐防蟻処理を施した製品を年間約4万m3生産しており、原料には北米産のベイツガと国産のヒノキを使っている。ウッドショック前まではベイツガが約8割を占めていたが、価格高騰などで従来通りの輸入が難しくなってきたため、昨年(2021年)7月頃からヒノキへのシフトを推進。新たに構築した国産材供給プラットフォーム「KISM(キズム)」と既存の流通ルートを活用して原料転換を進めており、現在は主力製品に使用する木材の約6割がヒノキになっている。
「KISM」は、「歩留まり優先」をコンセプトに据え、高付加価値製品の供給を目指すネットワークで、製材所や大手ビルダー、ホームセンターなどで構成している。同社は西日本を中心に約800haのスギ・ヒノキ林を所有しており、伐出した丸太(原木)は「KISM」の製材所が賃挽き加工する。参画している製材所は6県24社に広がっており、ほとんどは月間約50m3の原木を消費している。
同社は、一連の取引で得た利益を再造林費用に充て、社有林の持続的利用を進めている。担当者は、「連携している製材所の歩留まりは52%まで上がり、新製品も開発できた。今後も丸太1本の価値を高めていく」と話している。なお、「KISM」は、「森林×脱炭素チャレンジ2022」で優秀賞を受賞している。
(2022年9月1日取材)
『林政ニュース』編集部
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