東京農大と越井木材工業らが連携協定締結 社有林もフィールドに総合的な人材育成

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東京農大と越井木材工業らが連携協定締結 社有林もフィールドに総合的な人材育成

東京農業大学(東京都世田谷区、江口文陽学長)と防腐防蟻木材のトップメーカー・越井木材工業(株)(大阪府大阪市、越井潤社長)及び木材保存薬剤メーカーの(株)コシイプレザービング(同、神谷直秀社長)は、7月25日に包括連携協定を締結した。同大学が木材企業との間で協定書を取り交わしたのは初めて。

同協定は、研究・教育分野などに関する7項目からなり、研究テーマには、木材の耐久性向上に関する技術開発や国産材サプライチェーンの構築、木材の土木利用、生分解性接着剤等の開発などを挙げた。教育分野では、木育と食育の相乗効果の検証やインターンシップの実施、奨学金制度の設立などに取り組む。とくに、越井木材工業の社有林や工場などをインターンシップ・研究・実習のフィールドとして活用し、持続可能な森林経営から木材産業まで総合的に担える人材の育成を目指す。

協定締結に際し、越井木材工業から東京農業大学に寄贈された国産材家具「プラス・ビオトープ」

越井木材工業と東京農大のつながりは、長く太い。はじまりは1960年代。同社は、東京農大農学部林学科林産化学研究室(現・地域環境科学部森林総合科学科林産化学研究室)の初代教授・柴本武夫氏から木材保存剤開発に関する指導を受け、以降約60年間にわたって共同研究や情報交換などを続けている。東京農大のキャンパス内では同社の製品が随所で使用されており、協定締結式の会場になった国際センターのウッドデッキは、同社のサーモウッドで施工された。

林産化学研究室の7代目教授でもある江口学長は、「歴史ある3者の包括連携協定が締結され、人材育成の推進などで大きな成果が期待される」としており、越井社長も、「協定を機に循環型社会や生物多様性に配慮した木材製品の研究・開発をさらに加速させていく」と意気込んでいる。

(2023年7月25日取材)

(トップ画像=東京農大世田谷キャンパスで協定書を手にする(左から)越井潤・越井木材工業社長、江口文陽・東京農業大学学長、神谷直秀・コシイプレザービング社長)

『林政ニュース』編集部

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