テーダマツの合板利用を加速、産官学協定早生樹活用、ユーカリ・ポプラは燃料に  

テーダマツの合板利用を加速、産官学協定早生樹活用、ユーカリ・ポプラは燃料に  

10~30年程度の短伐期で循環利用できるテーダマツなど早生樹の実用化に向けて、中日本合板協同組合(内藤和行理事長)と静岡大学農学部(鳥山優学部長)及び静岡県農林技術研究所森林・林業研究センター(荒生安彦センター長)は、9月28日に連携協定を締結した。テーダマツを合板用材として利用するほか、ユーカリやポプラなどをバイオマス燃料として活用することを目指し、3者が協力して試験研究や技術開発を加速する。

同県では、昭和30年代に早生樹の試験植栽が行われ、今でも100ha以上に及ぶテーダマツの実証林などが残っている。一昨年(2021年)7月には天竜森林管理署管内の国有林でテーダマツの生育状況などを検証する勉強会*1が行われ、昨年(2022年)1月には同署と県が包括的な研究協定を締結。県は、早生樹の本格利用を新成長戦略研究(2022~2024年度)の課題に位置づけ、2030年には早生樹の造林面積を50haに増やし、2050年に同県内の森林が吸収する二酸化炭素(CO2)の約1割を早生樹で確保する目標を設定している。

9月28日に結んだ連携協定では、早生樹の育種・育林方法や合板など早生樹製品の性能評価などに取り組むことを申し合わせた。すでに、テーダマツの強度は合板に用いても十分なことはわかっており、詳細な物性試験を進めるとともに、接着性能なども明らかにしていく方針。ユーカリとポプラについては、昨年度から試験植栽を行っており、燃料材として安定供給できる可能性などを検証する。

協定締結式で、中日本合板工業組合の内藤理事長(林ベニヤ産業(株)社長)は、「産業界と行政・研究機関が一体となって日本に適した早生樹の普及に努めることで、国産材の供給力とともに、合板をはじめとする木材産業の国際競争力も高まる」と語った。

(2023年9月28日取材)

(トップ画像=静岡県庁で行われた協定締結式で挨拶する内藤和行・中日本合板協同組合理事長(右端))

『林政ニュース』編集部

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