25~30年程度の伐期で循環利用できるテーダマツの有効活用に向けた取り組みが静岡県内でスタートした。まず合板用材として使うことが検討されている。
テーダマツは、アメリカから持ち込まれたマツ科の早生樹(陽樹)で、地拵え後の林地ならば天然更新が可能。日当たりのよい環境で一度芽吹けば下刈りをしなくても通直に成長し、4~5年生で樹高4m以上に達し、獣害などにも強い。国内では、北は福島県から南は鹿児島県まで植栽されており、静岡・徳島・鹿児島県にはそれぞれ100ha以上の植栽地がある。
静岡・天竜両森林管理署と静岡県森林・林業研究センターは、中日本合板協同組合(愛知県名古屋市、理事長=内藤和行・林ベニヤ産業(株)社長)と共同で、7月20日に天竜署管内の国有林でテーダマツに関する勉強会を行った。
現地は、標高約200mで斜面北西側に位置し、約4.6haにわたって56年生のテーダマツと広葉樹が生育している複層林。テーダマツの現存本数は約400本で、蓄積量はha当たり740m3と試算されている。
植栽時の記録では、テーダマツはha当たり約3,000~3,400本を植え付け、4年間下刈りを実施した後は施業が行われていない。県研究センターのプロット調査結果によると、テーダマツ林内に生えている広葉樹はヒサカキやウラガシ、ヤブツバキなどの8種で、25年生から45年生が中心。このことから担当者は、「25年から30年あたりでテーダマツの劣勢木から自然淘汰が始まり、ギャップが生まれて広葉樹が入ったと思われる」との見方を示した。また、天竜署の担当者は、「テーダマツはおよそ50年を超えると風倒木などの発生や自然淘汰が進み、資源活用が難しくなる」と述べ、静岡署管内にある70年生のテーダマツ林でも針広混交林化が進んでいることが報告された。
一連の検討を踏まえ、勉強会の成果として、「テーダマツは25年から30年を伐期とした活用が望ましい」と結論した。
コウヨウザンから切り替え実用化に本腰、9月頃に量産試験
今回の勉強会を共催した中日本合板協同組合は、4年前から早生樹のコウヨウザン*1を合板用材として利用することを計画し、製造試験などを行ってきた。だが、製品段階になって、クスノキのような特有の強い匂いがあり、表面に結晶が表われるため、商品化が難しいと判断した。コウヨウザンに代わる新たな樹種を検討している中でテーダマツと出会い、実用化に向けた試験や検討作業に踏み切った経緯がある。
合板メーカーの(株)ノダが実施した強度試験結果によると、テーダマツを使った合板はスギ・ヒノキの複合合板と同等以上の強度を有する。また、比較的軽量なので取り扱いやすいメリットもある。同組合の担当者は、「9月頃に量産試験を実施して検討を重ね、実用化を目指していきたい」としている。
(2021年7月20日取材)
(トップ画像=現地勉強会には90名近くの関係者が参加した)
『林政ニュース』編集部
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