通販大手のディノスが木曽町で“多様な森”づくり推進 顧客と連携、国産材家具も拡充へ

通販大手のディノスが木曽町で“多様な森”づくり推進 顧客と連携、国産材家具も拡充へ

通信販売ブランド「dinos」(ディノス)を運営する(株)DINOS CORPORATION(東京都中野区、宇津洋一代表取締役社長)と長野県の木曽町(原久仁男市長)は、森林保全を通じた地域活性化に関する協定を10月13日に結んだ。同町の開田高原にある町有林内に「ディノスの森」を設け、多様性のある森づくりを進める。

「ディノスの森」を設定したのは、2.16haの皆伐跡地。元々はヒノキ人工林だったが、これからミズナラやホオノキ、クリ、ミズメ、オオヤマザクラなどの広葉樹苗木を植え、樹種転換を図っていく。併せて、木材活用や人材育成などに取り組むことでも合意した。

協定締結の狙いについて、同社経営戦略室の菅谷しのぶ氏は、「脱炭素へのアクションを加速させるため」と説明する。同社が今年(2023年)6月に実施したアンケート調査によると、6割の顧客が最も関心の高い社会貢献活動に「自然環境」を挙げた。これを踏まえ、同社は11月からウェブサイトの購入商品のコメント投稿機能に「ディノスの森を応援する」ボタンを設置し、押された回数と連動した植林活動を行って、「顧客とともに森づくりを広げていく」(菅谷氏)方針だ。

同社は、通信販売業界の中でいち早く家具分野に乗り出し、10年以上前から国産材家具を取り扱っている。家具の材料には、一昨年(2021年)から大分県の日田スギ、昨年(2022年)からは福岡県の大川地域と連携してセンダンを採用し、オリジナル商品を増やしている。菅谷氏は、「今後も積極的に国産材家具のラインナップを拡充していきたい」と話している。

モア・トゥリーズ代表に隈研吾氏、苗木からの森づくりに注力

DINOS CORPORATIONと木曽町の仲介役を担ったのはモア・トゥリーズ(more trees、東京都渋谷区、隈研吾代表理事)で、協定締結式では(株)Tree to Green(東京都渋谷区、青野裕介代表取締役)とともに立ち会い役をつとめた。

モア・トゥリーズは、2007年に世界的な音楽家の坂本龍一氏が代表理事となって発足し、国内外で幅広い森林保全活動を展開している。今年(2023年)3月28日に坂本氏が直腸がんのため死去し、後任として、6月16日に建築家の隈研吾氏が代表理事に就いた。

新体制になっても事業方針などに変わりはなく、国内外に19か所ある「more treesの森」のうち木曽町も含めた13か所で多様性のある森づくりに取り組んでいる。とくに、岩手県住田町、高知県梼原町では育苗プロジェクトが10月から始まり、地域住民らと連携して地域性苗木を育成し、植林することを目指している。事務局長の水谷伸吉氏は、「30by30の達成に向け、企業も生物多様性保全への関心を高めている。苗木づくりも合わせて多様性のある森づくりを広げたい」と意欲を語っている。

(2023年10月13日取材)

(トップ画像=「ディノスの森」の記念植樹ではシラカバを植林した、画像提供:モア・トゥリーズ)

『林政ニュース』編集部

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