長野県の木曽町が新年度(2024年度)から大がかりな林業振興対策をスタートさせる。同町の既存事業を再編して、「木の産業づくり事業」を創設し、川上から川下までをカバーする総合的なプロジェクトを展開する。

同事業は、原久仁男町長の“肝いり政策”に位置づけられており、周辺自治体とも連携して北部木曽地域を一大林業地にすることを目指す。戦後に造林したカラマツが伐期を迎えていることを踏まえ、「間伐主体の森林整備から主伐・再造林の促進と需要拡大にステージを切り替える」(同町農林課)のが主眼だ。

同事業では、カラマツ林を「80年サイクル」で循環利用できる体制を整備するため、森林所有者と森林組合や林業事業体が長期施業委託契約を締結して、主伐・再造林を計画的に実施できるようにする。伐出材は建築用だけでなく、合板・集成材用、バイオマス発電燃料用などへと販路を広げ、全木利用と付加価値の向上を図る。一方で、再造林コストを引き下げるため、植栽密度をha当たり1,500本に減らし、コンテナ苗を使用して植え付け作業を省力化する。

一連の取り組みを進めるため、2024年度予算に約8,200万円の必要経費を計上し、推進母体として木曽森林組合内に計画課を新たに設置する。

同事業は2025年度以降も継続し、ICTを活用して森林情報のデジタル化を進めるほか、合板工場や原木市場などを運営する企業を誘致して、原木乾燥土場や薪ステーション、チップ製造保管庫などを集約化した加工・流通拠点「木曽ウッドステーション」の整備を目指す。担い手対策では、森林総合監理士(フォレスター)の育成支援や、木曽青峰高校・林業大学校等との連携強化などに取り組むことにしている。

(トップ画像=木曽町産材の合板利用なども進める)

『林政ニュース』編集部

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