奈良県の天川村と同村の洞川財産区及びモア・トゥリーズ(more trees、東京都渋谷区、坂本龍一代表)*1は、6月7日に「森林保全および地域活性化に取り組むための連携協定」を締結した。キハダをはじめとした広葉樹の植林事業などに共同で取り組む。
協定に基づき、洞川財産区が所有する森林(区有林)内にある約6haの伐採跡地にキハダを中心とした広葉樹植栽を今年度から実施する。モア・トゥリーズは、植栽費等の資金援助や、外部から講師を招聘した広葉樹の森づくりセミナーやイベントを通じた森の魅力の発信のほか、地域産の木工品、天然精油などの地域の森林資源を活用した商品やサービスの企画・開発を地域とともに進めていく。
腹痛や二日酔いに利く! 和漢胃腸薬「陀羅尼助」の原料に
落葉高木のキハダは、天川村の特産品である和漢胃腸薬「陀羅尼助(だらにすけ)」の原料になる。「陀羅尼助」は、腹痛や下痢、二日酔いなどを緩和する効果があり、キハダの黄檗(コルク層を取り除いた樹皮)からつくられる。同村では、2019年から農林水産業みらい基金の助成金を活用して、キハダ苗木の生産と植栽を行っており、今回の協定締結を機に取り組みを強化する方針。
モア・トゥリーズは、国内各地の自治体等と連携して「都市と森をつなぐ」事業を展開している。保全協定を結んだのは9年ぶりで、近畿地方では初めて。天川村は、16番目の協定地域となった。
天川村森林政策課の話「モア・トゥリーズの『都市と森をつなぐ』取り組みが当村の『森とともに生きる村づくり』の方針と合致して協定に至った。今後の事業も連携を図りながら進めたい」
(トップ画像=キハダの苗畑、年間約2,000本を生産している)
『林政ニュース』編集部
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