(後編)外材価格高騰と品不足にどう対応していくか【遠藤日雄のルポ&対論】

(後編)外材価格高騰と品不足にどう対応していくか【遠藤日雄のルポ&対論】

中編からつづく)カナダのビジネス紙『FINANCIAL POST』は4月21日付けで、「Lumber party:prices soar ON booming home sales」と題する一文を載せた。Lumber party、すなわち「木材業界の『宴』の中で木材価格は急騰」と伝えたのだ。最近の北米木材市況をみると、相変わらず値上げ基調が続いている。日本向け第3クオーター(第3四半期)の価格交渉が始まったが、サプライヤーの中には第2クオーター(第2四半期)をはるかに凌ぐ価格を提示するケースが少なくない。関係者によれば、北米のサプライヤーから示されたSPFディメンションランバー価格はm3当たり(以下同じ)14万5,000円(港着値)と信じられないような高値だ。日本国内でも中編*1で紹介した日田地区では、スギ並材原木が30年ぶりに2万円を超えたという。一体この高騰はいつまで続くのか。やがて調整局面に入るのか。関係者の話題はこの点に集中している。そこで遠藤日雄・NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長は、匿名リレー方式で行っている「ルポ&対論」の締め括りとして、「宴」がどうなるかについて業界のキーパーソンにインタビューした。

スギ原木が30年ぶり2万円超えの中、“実需”の手応えは?

遠藤理事長

まず今の材価高騰を引き起こしている要因に、「仮需」が含まれているのかを聞きたい。

H(九州の木材関係団体専務理事)

九州のスギ素材生産量の対全国シェアは約35%で、製材品出荷量もそのくらいだ。そのため東京・首都圏からの引き合いが多い。外材、とくに米加製品の輸入量が減って価格が高騰しているのは事実だ。ただし、わが国の住宅着工戸数は停滞・減少気味だ。国土交通省の「住宅着工統計」をみても、今...

遠藤日雄(えんどう・くさお)

NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長 1949(昭和24)年7月4日、北海道函館市生まれ。 九州大学大学院農学研究科博士課程修了。農学博士(九州大学)。専門は森林政策学。 農林水産省森林総合研究所東北支所・経営研究室長、同森林総合研究所(筑波研究学園都市)経営組織研究室長、(独)森林総合研究所・林業経営/政策研究領域チーム長、鹿児島大学教授を経て現在に至る。 2006年3月から隔週刊『林政ニュース』(日本林業調査会(J-FIC)発行)で「遠藤日雄のルポ&対論」を一度も休まず連載中。 『「第3次ウッドショック」は何をもたらしたのか』(全国林業改良普及協会発行)、『木づかい新時代』(日本林業調査会(J-FIC)発行)など著書多数。

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