中国木材日向工場が中径木専門工場を増設 スギ大径木に対応し専用バーカーも導入

中国木材日向工場が中径木専門工場を増設 スギ大径木に対応し専用バーカーも導入

国内製材最大手の中国木材(株)(広島県呉市、堀川智子社長)は、宮崎県の日向工場に中径木専門工場を増設する。また、大径木専用のバーカーも導入し、加工能力を一段と高める方針だ。

同工場は、13万坪の敷地内に、小径木、中径木、大径木の各専門工場と集成材工場及び木質バイオマス発電所(出力1万8,000kW)を擁する。

主力である中径木工場における前期(2018年6月期)の原木消費量は42万m3(末口径16~34㎝)、同じく大径木工場は5万8,000m3(末口径36㎝上、元口80㎝まで)。使用原木はほぼスギ100%となっており、宮崎県内から7~8割のほか、鹿児島、熊本、大分南部などから調達している。

主要生産品目は集成用のラミナで、現在は月間1万2,000~1万3,000m3(乾燥前材積)を敷地内の集成材工場を含むグループの集成材工場(伊万里、郷原、鹿島)に供給している。ただ、集成管柱を生産している日向の集成材工場(月間製造能力1万m3)をフル稼働させるには現状の生産量では追いつかず、不足分を補うために中径木工場を増設することにした。新工場には、長さ4mの原木を12秒で製材できるツインバンドソー2機(現在の中径木工場は16秒/本)をメインに、ツインセンターカットソー2機(同1機)、シングルセンターカットソー3機(同2機)、横バンドソー6機(同4機)、ツインオートソー2機(同1機)を整備し、生産能力を1.3倍にアップさせる。

新工場は6月から稼働させ、現行の3班による勤務体制を2シフト制に移行して、従業員の労働負担を軽減する。今後も「働き方改革」を進めながら生産性を高め、2~3年後には日向工場全体の原木消費量を70万~80万m3に増やす方針。さらに、早ければ3年後には出力1万4,500kWの木質バイオマス発電所を増設することも計画している。

大径木の剥皮、長さ調整、バチ取りをワンウェイで効率処理

日向工場に新設した大径木専用バーカーは、2月から本格稼働に入る。元口80㎝まで処理できるバーカーと両端クロスカットソー、バチ取り機を備えており、剥皮と長さ調整、バチや取りをワンウェイで行うことができる。

これまで大径木のほとんどは皮付きのまま製材しており、バチや長さも入荷した姿のままでラインに投入していた。そのため、背板は燃料にするしかなく、製材後に1本ずつ長さ調整をする必要があり、バチが製材機にかける負荷が搬送トラブルの原因にもなっていた。

新しいバーカーの稼働でこうした問題が解消されれば、製材効率が高まるとともに、背板チップを製紙用に販売できるようになり、今後増加するスギ大径材の利用促進につながるとみられている。

なお、日向工場では昨年12月26日付で、スギ平角に関する人工乾燥処理構造用製材と機械等級格付構造用製材のJAS認定を取得しており、今後、スギ梁・桁の供給にも力を入れていくことにしている。

(2019年2月1日取材)

(トップ画像=大径木専用バーカーに連結されたクロスカットソー)

『林政ニュース』編集部

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