樹木採取区初指定へ、候補地10か所公表 9月から公募し、来年1月に権利者決定

国有林内に大規模な「伐採特区」を新設する樹木採取権制度*1*2がいよいよ動き出す。林野庁は7月1日に、樹木採取区の指定候補地となる10か所を公表した(参照)。8月まで公告・縦覧し、地元自治体や学識経験者の意見を聴いた後、9月から公募を行い、年明け1月に樹木採取権者(事業実施者)を決定する。2月には実施契約を締結し、伐採などができるようになる。

樹木採取権制度は、2019年6月に国有林野管理経営法などを改正して新設された*3。昨年度(2020年度)から運用を始めることにしていたが、コロナ禍のため実施を見合わせていた。

7月1日に公表された候補地は「パイロット的」な事業地として選定されたもので、林野庁が作成した「ガイドライン」*4に基づき、権利の存続期間は10年間程度、面積は200~300ha程度(年間20ha程度)とした。

樹木採取権を取得した民間事業者は、森林管理局長との間で実施契約と運用協定を結び、一定の「樹木料」を納付すれば、従来にない長期・大ロットの事業が行えるようになる。事業実施にあたっては、伐採後の確実な植林や、伐出材の5割以上を川中・川下事業者に安定供給して新規需要を生み出すことが条件になる。林野庁は、「10か所で実証的な取り組みを行い、新たな知見やノウハウを蓄えていきたい」(国有林野部)としている。

PPP/PFIワーキンググループの論点に樹木採取権など

政府の成長戦略会議内に設置されている「PPP/PFI等に関するワーキンググループ(WG)」は、6月14日の会合で重点検討事項の1つに、「樹木採取権制度の取組推進、国有林野と一体となる民有林の取組強化」を位置づけた。同WGは、民間活力を利用して公共サービスなどを提供する手法の確立を目指している。委員の竹中平蔵氏(慶應義塾大学名誉教授)は論点ペーパーを提出し、①樹木採取権関連施策の進捗確認のほか、②森林の経営集約化に関する施策のフォローアップと追加施策、③カーボンニュートラルや林産品の輸出産業化からみた森林関連政策の点検と追加施策についても議論を深めるよう求めた。

『林政ニュース』編集部

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