林野庁が来年(2025年)の通常国会に提出する森林経営管理法改正案の骨子が固まった。森林の集積・集約化を進める「新たな仕組み」として、経営管理権集積計画と経営管理実施権配分計画を一括で策定できるようにする。また、市町村の事務負担等を軽減するため、支援する法人を制度的に位置づけ、手続き要件の緩和なども措置する。
権利設定促進へ「新たな仕組み」を導入、手続き要件の緩和も
2019年3月に成立した森林経営管理法は、施行後5年をメドに見直すことになっている*1。同法に基づいて未整備森林の解消に向けた取り組みが進んでおり、今年(2024年)3月までの5年間で全国の1,132市町村が合計約103万haに及ぶ意向調査を行い、回答した所有者の約4割から市町村への委託希望が寄せられた。
市町村は、集積計画を策定して所有者から未整備森林を預かり、林業経営に適した森林については配分計画をつくって林業経営体への権利設定を行い経営・管理を任せることにしている。だが、権利の設定は低位にとどまっており(トップ画像参照)、林業生産活動の顕著な拡大にはつながっていない。その要因として、市町村と林業経営体をはじめとした関係者との連携や情報共有が不十分であることが指摘されている。

そこで法改正によって導入する「新たな仕組み」では、地域の関係者が協議して森林の集約化を図る区域や方針、受け手となる林業経営体を事前に決めて、集積・配分計画を一括で策定できるようにする(図参照)。市町村と林業経営体に同時に権利設定を行うことで、事務処理などに要する手間や時間が短縮され、集積・集約化のスピードアップにつながると見込んでいる。併せて、森林を手放したい所有者から林業経営体への所有権移転を可能にする措置なども講じることにしている。
(2024年12月6日取材)
(トップ画像=林業経営体への権利設定の状況)

『林政ニュース』編集部
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