国産材増産体制の構築に向け日合連も加わる
「宣言」のタイトルは、「時代の要請に応える国産材の安定供給体制の構築に向けて」。署名をしたのは、日本林業協会(島田泰助会長)、全国木材組合連合会(菅野康則会長)、全国森林組合連合会(中崎和久会長)、日本林業経営者協会(吉川重幹会長)、全国素材生産業協同組合連合会(日高勝三郎会長)、全日本木材市場連盟(守屋長光会長)、日本合板工業協同組合(井上篤博会長)の7団体。日合連が中央団体の「宣言」に加わったのは初めて。
生産原価方式に転換して価格形成の透明化を目指す
「宣言」では、いわゆるウッドショックやウクライナ情勢の影響で、「世界の木材需給がさらに不安定な要素を有してきている」とした上で、「森林所有者が経営意欲を持って林業生産活動に取り組める立木価格水準を念頭に生産・流通体制を築く」(要旨)ことを最重要課題にあげた。
具体的には、需要段階での販売価格からコストを差し引いていく「市場価逆算方式」から、再造林可能な立木価格を前提に所要のコストを加えていく「生産原価方式」への転換を検討する。ウッドショックなどで木材製品価格が高騰しても、山元には値上がり分が十分に還元されていない実態があるため、生産サイドと需要サイドの関係団体が連携して価格形成過程の透明化を図る。国有林で行われている「システム販売」などを参考にして、立木を安定的に取引できる市場の創設なども構想されている。
昨年(2021年)英国で開催されたCOP26(気候変動枠組条約第26回締約国会議)の共同宣言では、「2020年までに途上国での持続可能でない木材の伐採をなくすることの取り組み」が100か国以上の賛同で採択され、SDGsが掲げる「作る責任・使う責任」の概念も広がりをみせるなど、経済・社会全体が森林・木材の持続可能性を重視し始めている。「伐っても植えられない」林業を放置しておくことは許されず、中央団体のリーダーシップによって「新たな仕組み」を構築することが急務になっている。
(2022年6月1日取材)
(トップ画像=川上・川下の中央団体が「共同行動宣言」に署名した)

『林政ニュース』編集部
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