材価高騰・品不足で苦しむ中小工務店対策が急務【話題を追う】

木促法改正を主導した自民党の森林(もり)を活かす都市(まち)の木造化推進議員連盟(吉野正芳会長)は、6月14日に今年度3回目の総会を開き、「最近の輸入木材不足による木材価格の高騰」について関係者からヒアリングを行った。

国土交通省が5月末時点で125の中小工務店に対して行った調査結果によると、約9割が木材供給に遅延が生じており、そのうち3割は工事に遅れが出ていると回答。また、25%の中小工務店が最近1か月の間に新規の契約締結を見送り、22%は資金繰りが厳しくなっていると答えた。

住宅関係団体からは、「レッドウッド・ホワイトウッド・べイマツの横架材が調達難で着工できない建物が出始めた」(JBN・全国工務店協会)、「大手メーカーと比較して見積や工期に余裕のない中小工務店ほど厳しい立場にある」(日本木造住宅産業協会)、「(材価が高騰しても)建築主に請求はできず契約1件当たり平均57万円の自社負担増となっている」(全国建設労働組合総連合)──などの窮状が報告された。

一方、木材供給を担う団体からは、「原料不足や人手不足で増産は50%程度が限度。問い合わせは多いが実態は不明瞭なところがある」(国産材製材協会)、「価格高騰が木材離れにつながることが懸念される」(全国木材組合連合会)、「原木に高値が入っている地域もあれば、昨年来の工場減産で価格を下げたままの地域もある。山元では増産に努めているが、秋以降の需要が見通せず判断が難しい」(全国森林組合連合会)──という一様でない現状が述べられた。

対策の焦点は、中小工務店が安定的に国産材製品を調達できる仕組みづくりに絞られてきている。全森連からは、「必要な丸太の規格・数量・納材時期を前もってお知らせいただければ供給体制の構築は十分可能。林業サイドはこれを望んでいる」との発言もあった。

マスコミが多用し始めた「ショック」や「パニック」などの煽り言葉に振り回されることなく、地道な”対話”を継続して取引のパイプを太くしていくことが何よりも重要な状況になってきている。

『林政ニュース』編集部

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