全森連と韓国山林組合中央会がMOU締結 情報共有や人材育成など連携を強化

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全森連と韓国山林組合中央会がMOU締結 情報共有や人材育成など連携を強化

全国森林組合連合会(中崎和久会長)と韓国山林組合中央会(National Forestry Cooperative Federation、チョイ・チャン・ホ(Choi Chang Ho)会長)は、一層の関係強化と相互の発展促進を目的にしたMOU(Memorandum of Understanding、事業協力協定)を8月25日に締結した。韓国山林組合中央会の一行が来日し、東京都内のホテルでMOUの調印式を行った。

全森連と韓国山林組合中央会は、ともにICA-AP(国際協同組合同盟アジア太平洋支部)のメンバーで、これまでも相互訪問などの交流を続けてきた。これを踏まえ、事業ベースでの連携をさらに深めて具体的な成果につなげるためMOUを取り交わした。

MOUは全6条からなり、第4条で「協力の範囲」を規定。①私有林の発展に向けた林業政策とシステムに関する情報の共有、②林業技術開発・林業技術者育成のための教育管理情報の共有、③双方が開催する林業技術向上のためのイベントへの招待、④国際会議での相互協力――などに取り組むとした。

調印式に臨んだ全森連の中崎和久会長は、「日本と韓国の森林組合がお互いの発展に向けてMOUを締結することを大変嬉しく思う。これを機に、両者の関係がより緊密となることを期待する」と述べ、韓国山林組合中央会のチョイ・チャン・ホ会長は、「今回のMOU締結は両国の林業発展の第1歩となり、林業政策や情報を取り交わすことは今後に向けた堅い礎になる」と語った。

創立60周年、主要4事業に海外植林も推進、日本と課題共有

韓国山林組合中央会は、今年(2022年)で創立60周年を迎えている。本部と9つの地域本部の下に142の会員組合があり、森林所有者らが出資して民主的に営む非営利の特殊法人という組織形態をとっている。主な事業は、①森林経営支援、②森林資源の造成、③林産物の供給、④林業金融の4つで、森林経営指導員の育成や林業のデジタル化、自治体からの施業受託の促進、木材加工・流通の効率化など、日本と同様の課題に取り組んでいる。また、ベトナムで2万ha、インドネシアで2万8,000haの植林を行い、海外資源の確保も進めている。

MOUの調印を終え、韓国側は、日本の森林施業プランナー研修への人材派遣や定期的な先進地視察などを通じた技術交流などを進めたいとの意向を示した。日本側も、森林情報のほか獣害対策や人材の確保・育成、労働安全などについて課題を共有したいと応じ、両者が連携して解決策を探っていくことを確認した。

(2022年8月25日取材)

(トップ画像=MOUに調印したチョイ・チャン・ホ韓国山林組合中央会会長(左)と中崎和久全国森林組合連合会会長)

『林政ニュース』編集部

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