会場を東京に移しコンパクト化、来場者らが濃密にやりとり
次世代森林産業展は、2017年5月に長野県で「国際ウッドフェア」として初めて開催された。続いて、2019年8月には、ネーミングを「FORESTRISE」に改めて同じく長野県で実施し、会場(長野市内)での展示やセミナーなどに加えて、県有林(信濃町内)をフィールドにした高性能林業機械のデモンストレーションなども行った。
コロナ禍を経て3年ぶりの開催となった今回(第3回)は、会場を首都・東京に移し、コンパクトな規模で実施。大型機械のデモなどは、11月13日(日)・14日(月)に大分県別府市で開催される「2022森林・林業・環境機械展示実演会」(大分県と林業機械化協会の共催)に委ねるかたちとした。
前回(第2回)は、会期中に約6,000名が来場した。これに対し、今回の約3,500人という来場者数は、数字だけをみれば見劣りがする。しかし、出展者が発する“熱量”は高く、コンパクトな展示会であるだけに、来場者らと濃密なやりとりができたようだ。
事務局が集計している出展者アンケートの9月末時点の結果では、約9割が「とてもよかった・よかった」と回答。担当者は、「各ブースをくまなく回る人が多く、商談レベルの情報交換も活発に行われていた。意欲的で質の高い来場者が多かったことがアンケート結果に反映されている」と話している。
セミナーも交えバラエティ豊か、オーストリアは11社が出展
会期中には、天羽隆・前林野庁長官による講演をはじめ、オーストリアやニュージーランドの事例紹介、労働安全・働き方改革をテーマにしたセミナーなどが開催された。
出展ブースには、リモートセンシングや地上レーザ、ドローンなどを使った測量技術・機器をはじめ、唐辛子を用いた獣害対策製品や、VR(仮想現実)を利用した林業安全教育ツールなどがバラエティ豊かに並べられた。

会場内で一際存在感を放っていたのは、オーストリアのパビリオンブース。同国は、次世代森林産業展の第1回から参加して積極的なプロモーション活動を展開している。今回も11社が協力出展して、ドローンや防護ズボン、ヘルメット、繊維ロープなどの最新機器を実物展示したほか、タワーヤーダーやハーベスタ、木質バイオマスコンビナートなどに関する映像やパネルを通じて、先進林業国の現状を伝えた。その中には、小水力発電施設の設計から設置までを専門的に手がけるWWS Wasserkraft社のコーナーもあった。
同国大使館商務部の担当者は、「(オーストリアは)国民投票で原子力発電が禁止された。エネルギーの自立化を目指す上で、木質バイオマスの利活用だけでなく、森林から得られるエネルギーの1つである小水力発電も必要になる」と説明している。また、今後に向けては、「最先端技術も必要だが、人への投資が最も重要になる。新型コロナウイルスの影響で中止していた日本人向けの研修も来年(2023年)の9月頃には行いたい」と口にした。
次回(第4回)の「FORESTRISE」は、2年後をメドに開催することが検討されている。
(2022年9月14日取材)
(トップ画像=78の企業・団体が展示ブースを構えた)

『林政ニュース』編集部
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