2×4建築用材の国産化を進めて安定供給を目指す新たな組織が立ち上がった。協和木材(株)(東京都江東区、佐川広興社長)、三井ホーム(株)(東京都新宿区、池田明社長)、(株)三菱地所住宅加工センター(千葉県千葉市、中島秀敏社長)の3社が代表理事となって、11月8日に「ツーバイフォー建築における国産木材活用協議会」が発足。NPO法人建築技術支援協会(東京都文京区)に事務局を置いて活動を始めた。
協和木材、三井ホーム、三菱地所住宅加工センターなどが横断的に連携
同協議会には、2×4材のメーカーやプレカット業者、ハウスメーカーなどが横断的に参画しており、設立時点の正会員は33社・団体、賛助会員は4社・団体となっている。当面は、会員間で2×4材等の需給に関する情報共有を進めて、年間使用量や供給量を「見える化」し、国産材の利用拡大につなげていく方針。また、部材の実証実験などを通じて強度数値などに関する規格を整理し、構造計算が必要な3階建て以上の建築物や非住宅分野における国産材の活用を促進することにしている。
生産量は増えているが国産材率は10%程度、山側に働きかける
同協議会が設立された背景には、ウッドショックやロシアのウクライナ侵攻などで海外から木材製品を輸入することが難しくなっていることがある。とくに、カナダから輸入している2×4材(ディメンションランバー)の安定調達には翳りが出ている。これまでも個々の企業レベルで国産材への切り替えは行われてきたが、同協議会に結集することで国産材シフトに勢いをつける狙いがある。
同協議会によると、国産2×4材(枠組壁工法構造用製材)の今年(2022年)の生産量は前年比で23.4%増となる見込み。一方で、2×4材全体に占める国産材の比率(自給率)は10%程度にとどまっており、供給力アップに向けた“伸びしろ”は大きい。
同協議会は、設立趣意書の中で、「山側と需要側の相互の信頼関係が必ずしも十分ではなく、(国産材の)活用が進んでこなかった」と課題を指摘した。代表理事の1人である三井ホームの池田社長も、「安定的な需要を創出すると同時に山側にも働きかけをしていきたい」と話しており、同協議会が橋渡し役となって山側(国産材業界)との“対話”が進むことが期待される。
(2022年11月8日取材)
(トップ画像=2×4材を供給する企業・団体が結集して協議会を立ち上げた)

『林政ニュース』編集部
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