来年度林野予算3,033億円、1.8%減 今年度補正を加えた総額は4,403億円

政府は、昨年(2023年)12月22日に来年度(2024(令和6)年度)当初予算(案)を閣議決定した。

林野関係の概算決定額は3,003億円で、今年度(2023(令和5)年度)当初予算比では1.8%減少し、2022(令和4)年度以来2年ぶりのマイナス予算となった。ただし、昨年11月29日に成立した今年度補正予算*1で措置された1,401億円を追加した総額では同44.0%増の4,403億円となる(参照)。

来年度林野関係当初予算の内訳は、公共事業が同0.1%増の1,982億円を確保したのに対し、非公共事業は同5.2%減の1,021億円に縮小した。

林野予算の主力である一般公共事業は、来年度当初予算の1,877億円に、今年度補正予算の745億円と非公共事業の「路網の整備・機能強化対策」(60億円)が加わって合計額は2,682億円となり、6年連続で目標額の2,600億円を超え、2,700億円に近づいた。

一方、非公共事業については、中核である「森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策」の予算額が同11%減の144億円にとどまるなど伸び悩んだが、今年度補正予算に計上された「花粉症解決に向けた緊急総合対策」(一部公共、60億円)などで補うかたちとなっている。

花粉対策強化へ室長級調整官ほか森林管理局・署に専門ポスト

林野庁は来年度の組織・定員見直しで、森林整備部森林利用課内に室長級の「花粉発生源対策調整官」(仮称)を新設する。また、花粉削減対策を強化する森林管理局に企画官、森林管理署に造林対策官を設置する。

「厳しい議論」の末、軽油引取税免税措置の3年延長が決まる

来年度予算(案)の決定とともに、林野関係の来年度税制改正事項も全容が明らかになった。森林環境譲与税の譲与基準を見直して、森林面積の多い市町村への配分額を増額*2するほか、軽油引取税に係る免税措置の3年延長や、山林所得に係る森林計画特別控除(収入金額の20%の控除等)の2年延長などが決まった。

軽油引取税の免税措置は、林業・木材加工業・木材市場業・バーク堆肥製造業に適用されており、使用する機械の動力源となる軽油に課される税金が1ℓ当たり32.1円免除されている。この特例措置は3年ごとに更新されており*3、2015(平成27)年度の税制改正時には、利用実績が低迷していたことから一旦は免税不可とされ、林業・木材産業界の働きかけで“逆転継続”を勝ち取った経緯がある*4。今回も、「(税調等で)厳しい議論があったが、免税措置を続けることに理解が得られた」(林野庁企画課)という決着となった。

『林政ニュース』編集部

1994年の創刊から早30年! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしていきます。

この記事は有料記事(1117文字)です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
詳しくは下記会員プランについてをご参照ください。