荒廃農地の森林化を支援、2022年度から新事業

農林水産省は、人口減少や担い手不足で増加している荒廃農地を計画的に森林化して有効活用を図る新たな支援事業を来年度(2022年度)から始める。同省の農村振興局地域振興課が所管している「最適土地利用対策」(来年度予算額は97億5,200万円の内数)の助成メニューに「計画的な植林」を追加し、手入れが難しい田畑は山林に地目を変更して持続的に利用できるようにする。植栽する樹種は問わないが、短伐期で収益が得られるコウヨウザンやセンダンなどの早生樹が有望としている。

苗木代などを助成して持続的利用を目指す

同省では、有識者らで構成する「長期的な土地利用の在り方に関する検討会」(座長=池邊このみ・千葉大学園芸学研究科教授)が昨年(2021年)6月に行った中間とりまとめの提言内容を踏まえ、段階的な荒廃農地対策を進めている(トップ画像参照)。農地の集積・集約化や、放牧など粗放的な利用などに取り組んでも農業生産活動を続けることが難しい場合は、森林に誘導することを来年度から本格的に支援する。

農山漁村振興交付金を活用し、地域協議会などで合意した地区を対象に、5年間にわたって支援を行う。事業開始年度は上限250万円を定額助成し、2年度目以降も管理経費等の所要額を交付する。交付金は、苗木代や省力化機械の購入費、合意形成、計画策定に要する経費などに充てることができる。対象地区の面積は、中山間地域でおおむね5ha以上を目安とし、分散している複数の実施地をまとめて計画的に森林化していく場合も支援対象とする。担当の地域振興課荒廃農地活用推進班は、「地域住民を交えた話し合いを十分にしていただいた上で、農林複合経営などを進めやすくし、持続的な土地利用につなげていきたい」と話している。

(2022年1月15日取材)

(トップ画像=荒廃農地対策の方向性(「長期的な土地利用の在り方に関する検討会」資料より))

『林政ニュース』編集部

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