東海・関東地方が記録的な豪雨に襲われた7月3日午前10時半ごろ、静岡県熱海市伊豆山で大規模な土石流が発生し、9名が死亡するなど甚大な被害が発生した(7月15日時点)。
土石流災害の原因とみられているのが上流部に造成され、崩壊した盛土だ。このため、国土交通省は全国の盛土の総点検に乗り出しており、森林法による開発規制強化を求める声も出てきている。
野上農相は、7月13日の記者会見でこの問題に触れ、「森林で開発行為を行う場合には、森林法に基づいて、1haを超えるものは都道府県知事の林地開発許可、1ha以下のものは市町村への伐採届の提出が必要となっている」と述べた上で、崩壊盛土に関する静岡県からの報告について説明。「開発面積が当初1ha以下であったものの、実際には1ha を超えていたことから、林地開発許可違反として、平成19年5月に静岡県が事業者に是正措置を指導した」、「周辺の太陽光発電施設については、開発面積が1ha以下であるものの、森林法に基づく伐採届の提出がなかったことから、平成28年6月、熱海市長が事業者に対して、伐採届を提出するように指導をした」と問題があった経緯について語った。
林野庁は、「静岡県の検証作業を踏まえ、連携して再発防止策を検討していく」(治山課)方針。リモートセンシングやAI(人工知能)などの先進技術を活用して監視体制を強化していくことも視野に入れているが、短兵急にできるものではない。前例のない豪雨が常態化している中で、「人災」の原因を事前に見つけ出し、取り除いていくにはどうすべきなのか。難しい課題を突きつけられている。
『林政ニュース』編集部
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