異分野のエキスパートが参加し「森ハブ」の初会合を行う

林野庁は、異分野の人材を活用して林業改革の戦略を練る検討組織として「林業イノベーションハブセンター」(通称「森ハブ」)を新設し、第1回会合を7月8日に開催した。座長にベンチャー企業の育成に取り組んでいる松田修一・早稲田大学名誉教授が就任したほか、知的財産マーケティングに詳しい坂井貴行・神戸大学バリュースクール教授や、(株)リクルート出身で岐阜県飛騨市在住の宮本義昭・(株)バルステクノロジー社長が委員に加わった。事務局は、有限責任監査法人トーマツ、デロイトトーマツコンサルティング合同会社、住友林業(株)の3社が連携して担う。デロイトトーマツグループは、東京・丸の内エリアのオープンイノベーションプラットフォーム「TMIP(Tokyo Marunouchi Innovation Platform)」を使って森林・林業の未来ビジョン「Japan Forest 2050」の検討も進めており、既存の枠組みにとらわれない斬新な林業活性化案が出てくる可能性がある。なお、「森ハブ」の第2回会合は8月下旬に行う予定。

「森ハブ」専門委員会委員(五十音順、敬称略)

  • 泉清久(和歌山県農林水産部森林・林業局局長)
  • 坂井貴行(神戸大学バリュースクール教授)
  • 柴田君也((株)柴田産業代表取締役)
  • 立花敏(筑波大学生命環境系准教授)
  • 松田修一(早稲田大学名誉教授)
  • 宮本義昭(バルステクノロジー代表取締役社長)

「林業イノベ対策」に予算拡充の意見も――行政事業レビュー

「森ハブ」を含めた林野庁の補助事業「林業イノベーション推進総合対策」(今年度予算額は9億6,700万円)に対する「行政事業レビュー」が6月23日に行われ、事業のムダを洗い出すチェック役の外部有識者は「事業内容の一部改善」が必要と判定した。評価の中では、「現状では横展開を図る段階ではない」、「アウトカム(成果)指標として労働生産性改善や造林コストの低減効果を計測すべき」との注文がついた一方で、「林業全体への波及に向けた具体的戦略の立案も重要」、「時期を限って予算規模の拡充も検討してはいかがか」との積極論も出た。担当の研究指導課は、これらの指摘を踏まえて来年度概算要求を行うことにしている。

(2021年7月8日取材)

『林政ニュース』編集部

1994年の創刊から早30年! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしていきます。

この記事は有料記事(972文字)です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
詳しくは下記会員プランについてをご参照ください。