国産早生広葉樹のセンダンを育成して家具用材などとして活用する取り組みが静岡県で始まった。温暖な気候に恵まれた同県は、早生樹を用いた短伐期林業の適地とみられており、最北東に位置する小山町では針葉樹のコウヨウザンを中心とした植栽試験が行われている*1。センダンはケヤキなどの代替材になり、家具産地・静岡にとって利用価値の高い樹種になると有望視されている。

静岡けやきライオンズクラブ(鳥巣誠一会長)は、キックオフイベントとなる講演会「早生広葉樹を植えて使おう!」を4月14日に静岡市葵区の県護国神社で開催。県、静岡市、関東森林管理局、県家具工業組合などが後援し、一般市民を含めて約60人が参加した。

講演会では、九州で早生樹利用を推進しているパナソニックライフソリューションズ創研(株)特別上席コンサルタントの中ノ森哲朗氏*2*3と、センダンの幹を通直にする「芽かき」を含む施業体系を開発した熊本県林業研究・研修センター育林環境部長の横尾謙一郎氏*4が講演し、「マーケットイン型の早生樹林業がすでに始まっており、日本の林業の活性化につながる」(中ノ森氏)、「センダンは15~20年の伐期でha当たり約90万円の収入が見込める」(横尾氏)など、最新の知見を伝えた。

講演後のアンケート調査では、大半の参加者から「とても参考になった」との回答が寄せられ、数名からは「センダンをすぐにでも植えてみたい」との意向が示された。主催メンバーの1人である金原隆之氏((株)きんぱら会長)は、「県有林を利用してセンダンを植える計画が進んでおり、放置茶畑などアクセスのよいところも植林候補地になる」と話しており、「産官学が結集したオール静岡の体制で取り組みたい」と意欲をみせている。

(トップ画像=キックオフイベントとなる講演会を開催)

*3早生樹革命は可能か? 盛況シンポから、目指すは「林業の時間軸を変える!」【緑風対談】

『林政ニュース』編集部

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