議員立法で今国会中の成立を目指している「脱炭素社会の実現に資するための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の条文が確定し、全容が固まった。
同法は、2010年に制定された公共建築物等木材利用促進法(木促法)を改正して、木造・木質化の支援対象を民間建築物に広げるとともに、「脱炭素社会の実現」を法の目的に追加する。自民党の都市木造化推進議員連盟(吉野正芳会長)が5月12日の総会で条文を確認・了承し、党内手続きと各党への説明を本格化させている。6月16日までの今国会会期中に全会一致で可決し、成立させる方針だ。施行は10月1日を予定している。
確定した条文では、法律名を「公共建築物」から「脱炭素社会の実現に資するための建築物」に変更し、木材利用の意義に関する基本理念を定めるなど、新たな規定を盛り込んだ。推進体制を強化するため、農林水産大臣が本部長となり、総務・文部科学・経済産業・国土交通・環境など関係大臣で構成する「木材利用促進本部(仮称)」を新設、毎年10月を「木材利用促進月間」、10月8日の木の日を「木材利用促進の日」に定めて普及啓発活動や表彰行事などを行う。また、民間の取り組みを支援するため、「建築物木材利用促進協定制度」を創設し、国・地方公共団体と協定を結んだ事業者に対して、「必要な財政上の配慮その他の必要な支援を行う」(第15条)。
このほか、木造建築物の設計・施工に関する先進的技術の普及促進や人材育成、強度や耐久性に優れた建築用木材の製造技術開発や低コスト化などを推進することも新たに規定。林業・木材産業の事業者が木材等を安定供給する努力義務も定めた。
(2021年5月12日取材)
(トップ画像=5月12日の自民党都市木造化推進議員連盟総会で挨拶する金子恭之・法改正検討ワーキングチーム座長)
『林政ニュース』編集部
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