農林水産省は来年度(2023(令和5)年度)予算概算要求を8月31日に財務省に提出した。林野庁関係の要求額は対前年度当初予算比で17.8%増の3,505億9,300万円とした。予算増額のカギを握る「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」と「総合的なTPP等関連政策大綱」及び食料安全保障の強化に必要な経費については事項要求で提出し、「予算編成過程で検討」するとした。
「5か年加速化対策」や「TPP関連政策」など増額要因は事項要求
林野予算要求の内訳は、公共事業が同17.4%増の2,315億7,200万円、非公共事業が同18.4%増の1,190億2,100万円。
林野予算の主力である一般公共事業の要求額は、森林整備事業が1,477億9,000万円、治山事業が734億4,000万円で、ともに同18.4%増と例年と同じ伸び率にした*1。

新規の「循環成長対策」で118億円要求、「保安林・盛土対策室」新設へ
非公共事業では、中軸となる「森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策等」を前年度当初予算より39億円増の155億円で要求。このうち118億円は、既存事業を再編して新規要求する「林業・木材産業循環成長対策」に充てる方針だ。同じく既存事業の組み換え新規である「林業デジタル・イノベーション総合対策」は32億円で要求した。
組織・定員要求では、森林地域における盛土等の災害防止を図るため、治山課に「保安林・盛土対策室」(仮称)を新設する予定。また、所有者が手放したい森林を国有林化することに備え、新たに国庫帰属法*2に関するポストの設置を検討している。
(2022年8月31日取材)
『林政ニュース』編集部
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