森林の二酸化炭素(CO2)吸収量などを取引する市場の立ち上げが活発化してきた。(株)東京証券取引所(東京都中央区、岩永守幸・代表取締役社長)が「カーボン・クレジット市場」を10月をメドに開設するほか、大手金融機関や企業グループなども独自の取引市場を創設しており、市場間競争が激化する様相も呈している。政府は、脱炭素社会を実現するため、森林由来クレジットの利用拡大を目指しており、複数の市場を比較しながら、森林の価値を最も高められる売り先を選ぶ“眼力”が求められる状況になってきている。
東証は、国(経済産業省)からの受託事業として、昨年(2022年)9月から今年(2023年)1月まで「カーボン・クレジット市場」を試行的に運営する実証事業を行った。この結果を踏まえて、10月をメドに同市場を本格的に開設し、取引を始める予定だ。同市場の売買銘柄には、森林由来のJ-クレジットなどが位置づけられており、オープンな取引の場でどのように評価されるかが注目される。実証事業における取引結果はトップ画像のとおりで、「森林」クレジットの総取引額は約86万円、総売買量は約60t-CO2と小規模にとどまった。ただし、平均取引額は約1万4,600円と、「省エネルギー」や「再生可能エネルギー」のクレジット価格を大きく上回っており、一定の相場観が形成されたとみることもできる。
東証以外にも、SBIホールディングス(株)(東京都港区、北尾吉孝・代表取締役会長兼社長)とアスエネ(株)(東...
『林政ニュース』編集部
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