自然界の“眠れる資源”をチップと木酢液で効率的に生産
フルボ酸とは、土壌の腐植層に含まれる物質の1種で、ミネラルの溶出を促進し、保持する機能を持つ。「ミネラルの運び屋」とも呼ばれ、植物の生長促進や土壌改良、水質浄化などに効果がある。かねてから自然界に存在する有用物質として知られていたが、土壌中で腐植層が1cm形成されるには約100年の時間を要し、効率的にフルボ酸を抽出・精製することは難しかった。
国土防災技術は、この“眠れる資源”を有効活用すべく、約10年前から技術開発に着手。担当の田中賢治・緑環境事業部長によると、「当初は硫酸や塩酸を使ってフルボ酸をつくろうとしたが、なかなかうまくいかずに廃液の処理も問題になった。試行錯誤を重ねているうちに、pHの低い木酢液を用いればといいと思いついた」。そして、木質バイオマス・木質チップを木酢液に数百時間浸して人工的に腐植化させ、効率的にフルボ酸溶液を生成することに成功。一連の製造工程について特許を取得し、東北...
『林政ニュース』編集部
1994年の創刊から早30年! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしてまいります。