白鷹町が国土防災技術と包括連携協定締結 林政課を新設、林業振興の取り組み強化

白鷹町が国土防災技術と包括連携協定締結 林政課を新設、林業振興の取り組み強化

山形県の白鷹町(佐藤誠七町長)が林業振興に向けた取り組みを一段と強化している。今年度(2024年度)から林政課を新設して業務執行体制を拡充。4月12日には、国土防災技術(株)(東京都港区、相川裕司社長)と包括連携協定を締結し、地域活性化や防災対策などで協力していくことを申し合わせた。東京都の三鷹市及び福島県の矢吹町と連携して森林の二酸化炭素(CO2)吸収量を活用したカーボンオフセット事業を始める準備も進めており、対外的なネットワークを広げながら町勢の発展を目指している。

同町は、昨年(2023年)4月に物林(株)(東京都江東区)及びデロイトトーマツグループ(東京都千代田区)と連携協定を結ぶなど*1*2、大手企業の経営資源を積極的に取り入れて“まちおこし”を加速する戦略をとっている。

国土防災技術は、治山・林道や緑化事業などで豊富な実績と知見を有し、森林由来の「フルボ酸」を使った自然再生事業も展開している*3。同町は、紅花の生産量が日本一であり、同社と連携して連作障害を緩和する土壌改良の実証事業を行っている。今後は、町営スキー場の緑化事業なども進めて景観の向上を図り、観光需要にも応えていくことにしている。

永野徹氏が林野庁を早期退職して陣頭指揮、新規事業なども検討

白鷹町が新設した林政課は、2021年度に農林課内に設置した林政係を格上げしたもので、7名の職員を配置して、林業振興や森林整備のほか、森林空間を活かしたニュービジネスの立ち上げなどにも取り組む。

課長(参与を兼務)には、3月31日付けで林野庁を早期退職した永野徹氏が就任した。永野氏は、2015年4月から2019年3月まで同町に出向し、2020年度の木材利用優良施設コンクールで内閣総理大臣賞を受賞した木造の「まちづくり複合施設」*4*5を手がけるなど手腕を発揮した。国と地方の実情に精通した永野氏独自の着想に基づく新機軸の打ち出しが期待される。

(2024年5月22日取材)

(トップ画像=協定書を取り交わした佐藤誠七・白鷹町長(右)と相川裕司・国土防災技術社長)

『林政ニュース』編集部

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