県産材の需要拡大に向けて集成材工場の建設を検討している新潟県は、年間2万m3程度の構造用集成材を安定供給できる生産体制を構築するため、県内外の関係者が横断的に参加する協議会を来年度(2025年度)に新設する。同県が設置している有識者らの検討会が2月28日に3回目の会合を開いて今後の方針などを決め、新工場実現への取り組みをワンランクアップさせることにした。
県内外の関係者が結集し、2025年度から検討作業を加速
これまでの検討を通じて、県産材を使ったスギ集成材やスギ・ヒノキのハイブリッド集成材を生産すれば、梁桁など住宅用横架材の需要を掴めるだけでなく、非住宅建築物の木造化ニーズにも対応できることがわかってきている*1。
同県が県内の大手ビルダーにヒアリング等を行ったところ、価格が折り合えばレッドウッド集成材から県産集成材に転換する意向が示され、使用量は年間約1,000棟分(約6,000m3分)に上るとも見積もられた。
また、三条市のウッド・ハブ合同会社らが開発したWHフレームシステムを使って郊外の大型店舗や倉庫などを木造化する取り組みも進んでおり、広島県で建設した木造バイクショップでは1,000万円以上のコストダウンが図られている(図参照)。

こうした新規需要を獲得していくためには、年間2万m3規模の構造用集成材を継続的に生産できる体制づくりが必要とみられており、同県が来年度に設置する協議会には、県内の川上・川中・川下関係者に加えて、金融機関や県外の大手ビルダーやゼネコン、チェーンストアの関係者にも参加を呼びかける。異業種も交えた“共創の場”をつくることで、新設する集成材工場の事業計画策定や事業主体の選定、新製品の試作、販路拡大のためのPR活動などに加速度をつけることにしている。
(2025年2月28日取材)
(トップ画像=WHフレームシステムを使って建設した木造バイクショップ、画像提供:ウッド・ハブ合同会社)

『林政ニュース』編集部
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