全国初、製材からCLTまでを一貫生産 サイプレス・スナダヤの新工場が完成

全国初、製材からCLTまでを一貫生産 サイプレス・スナダヤの新工場が完成

愛媛県西条市の(株)サイプレス・スナダヤ(砂田和之社長)が約77億円(うち国庫補助約23億円)を投じて建設を進めていた大型工場が完成した。製材から乾燥ムク(無垢)製品、集成材、CLTまでを同一か所で一貫生産できる工場は全国初となる。

18万m3で愛媛県最大に、長さ12mの巨大CLTも生産可能

新工場は、「東予インダストリアルパーク」(西条市)内にあり、敷地面積は約2万坪。一昨年(2016年)8月から建設を開始し、製材、乾燥、構造用集成材部門の第1期工事が昨年(2017年)3月に完了。続いて、CLT部門の第2期工事を進め、今年(2018年)2月末に完成した。

製材部門は昨年6月から稼働しており、現在は月間1万3,000m3の原木を消費、今後は1万5,000m3まで引き上げる計画。実現すると、同社の年間原木消費量は18万m3に達し、愛媛県内で最大規模となる。

集成材の生産は月間5,000m3を予定しており、昨年9月にヒノキEW小断面・中断面イソシアネート系の構造用集成材JASを取得。さらに、12月には同レゾルシノール系も取得した。

アミテック社製の高速ベルトサンダー

CLTの生産については、初年度が1シフトで月間1,000m3、その後1,200m3に引き上げ、将来的には2シフトで2,400m3を目標としている。CLTの最大サイズは幅3m×長さ12m×厚さ36㎝にもなり、1階分の高さを3mとすると縦使いで4階分を1枚で構成できる巨大なサイズになる。国内で長さ10m以上の大判CLTを生産できるのは同社と銘建工業(株)(岡山県真庭市)の2社のみ。CLTのラインは試運転が終了してJAS取得の手続きを進めており、7月頃から商業運転に入る予定だ。

欧州3か国の最新機械導入、国産ヒノキ・スギの利活用推進

新工場のメインとなる製材機はドイツのリンク(LINCK)社製で1分間に4m材を15本製材でき(分速60m)、性能的には2倍の120m、末口10~45㎝×元口50㎝まで対応可能。また、CLT工場には、スロベニアのレディネック(LEDINEK)社製の高速フィンガージョインターとコールドプレス、イタリアのエセットレ(ESSETRE)社製のCNC加工機、アミテック社の高速ベルトサンダーを設置、主要機械は欧州3か国の最新輸入機で構成した。とくに、コールドプレスとCNC加工機は国内初導入となる。

新工場の運営では、国産ヒノキ・スギの利活用を推進する方針。ヒノキの使用量は、これまでの月間8,000m3から1万2,000m3程度に引き上げ、ヒノキでCLTが欲しいというオーダーにも対応する。スギは、CLTのラミナ用に月間1,000m3~2,000m3を使う。同社がこれまでメインの用材原木としてきた米ヒバの使用は、構造用集成材のみに特化する。

3月16日には新工場の竣工式が行われ、関係者ら約150が出席、CLT用コールドプレスの稼働状況などが披露された。同社の砂田和之社長は式典の挨拶で、「製材からCLTまでを一貫生産でき、北米や欧州の木材産業先進国にも誇れる、夢のような木材加工工場が完成した。国産材のさらなる利用と需要を拡大し、山元への還元に当社一丸となって邁進したい」と意欲を語った。

挨拶をする砂田和之・サイプレス・スナダヤ社長

なお、同社が工場を新設するきっかけになったのは、本社工場前を通る国道11号線のバイパス工事で、工場敷地約8,000坪のうち約2,000坪が収用されたこと。残る敷地内に設備をまとめることは難しく、機械類が老朽化して生産効率が低下していたため、全面リニューアルに踏み切った。

(2018年3月16日取材)

『林政ニュース』編集部

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