サイプレス・スナダヤが釧路で新工場計画  中部電力と新会社、27年4月稼働目指す

北海道 愛媛県 木材・木製品製造業

愛媛県西条市に本社を置く大手木材企業の(株)サイプレス・スナダヤ(砂田和之社長)が北海道の釧路市内に工場を新設する計画を進めている。同市内の日本製紙(株)釧路工場跡地に構造用集成材などを生産する工場を整備し、道内に豊富なトドマツなどを加工して、道外へ出荷することを検討している。実現すれば、道内で最大規模の工場が誕生することになる。

同社の砂田社長が3月26日に札幌市内で道内の木材産業関係者らに事業構想を説明し、理解と協力を求めた。計画によると、同社が80%、中部電力(株)(愛知県名古屋市)が20%を出資して新会社を設立し、釧路工場跡地(約90万m2)の約19万m2を賃借して新工場を建設する。着工は2026年末、稼働開始は20277年4月を予定しており、総投資額は200億円程度になる見込みだ。

新工場には、製材と集成材の加工ラインや乾燥設備などを整備し、構造用集成管柱や2×4(ツーバイフォー)工法用ディメンションランバーのほか、チップ、ペレットなどを生産する。使用する原木(丸太)は、トドマツをメインとし、アカエゾマツや道南のスギも利用する。稼働開始時の年間原木消費量は約10万m3とし、3年目に30万m3、5年目には50万m3に増大することを目指す。

桁違いのスケールにどう対応するか、9月に事業化を最終決定

サイプレス・スナダヤは、昨年(2023年)2月に(株)大林組(東京都港区)の子会社となり、大手ゼネコンの傘下でどのような事業展開をするかが注目されていた。北海道には国際競争力を有するような大型工場がなく、道産材の付加価値を高めて販路を広げるためには、最新鋭の加工拠点を整備する必要性がかねてから指摘されていた。

ただし、同社が計画する年間50万m3規模の新工場は桁違いといえるスケールになる。道内の関係者からは、「原木を集められるのか」との疑問符がつく一方で、「森林資源はある。主伐・再造林を進めるいい機会になる」という積極論もあり、見方は分かれている。

同社は、9月をメドに事業着手を最終決定することにしている。“北の大地”を一変させるようなビッグプロジェクトに、果たしてゴーサインは出るのか、今後の推移が注目される。

(2024年3月27日取材)

『林政ニュース』編集部

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