国土強靭化法を根拠とする国土強靭化基本計画に基づいて設置されている産・官・学・民の連携組織「一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会」(東京都千代田区、広瀬道明・東京ガス(株)相談役)のWG(ワーキンググループ)が「国産木材の利用促進へ向けた提言書」をまとめ、岸田文雄首相をはじめ関係省庁などに実現を働きかけている。建築用材が固定しているCO2(二酸化炭素)量を認証し、温対法(地球温暖化対策推進法)に基づくSHK制度を活用してオフセットする仕組みを構想しており、従来にない提案として注目を集めそうだ。
提言書をまとめたのは、同協議会内に約2年前に設置された「CO2固定による国産木材利用促進WG」で、日本製鉄(株)顧問で前環境事務次官の中井徳太郎氏が座長、東京大学客員教授で元農林水産事務次官の末松広行氏が副座長をつとめている。
提言書のポイントであるSHK制度は「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」の略称で、CO2などの温室効果ガスを一定量以上排出する事業者に対して排出量の算定と国への報告を義務づけ、その情報を国が公表する仕組みとなっている。これまでSHK制度では、木材利用を通じたCO2固定量はカウントしていなかったが、長期使用(=長期固定)が前提となる建築用材に限定して組み込むことで、「ゼネコンや建設業者などが国産木材を使用する際のインセンティブになり、業界全体の需要喚起につながる」(同協議会事務局)と見込んでいる。
同WGは、昨年(2023年)11月に村井英樹・内閣官房副長官を介して岸田首相に提言書を提出したことを皮切りに、12月には農林水産省・林野庁、国土交通省、今年(2024年)1月には環境省にも提言書を渡して説明を行っており、今後は政界にもアプローチしていく...
『林政ニュース』編集部
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