3か年で4万8,000本の特定苗木供給、九州森林管理局が生産者と協定結ぶ

3か年で4万8,000本の特定苗木供給、九州森林管理局が生産者と協定結ぶ

九州森林管理局は、苗木の増産意欲が高い生産者と11月15日に「スギ特定苗木の安定需給協定」を締結した。九州地方では、主伐・再造林の拡大によってスギ苗木が不足しており、とくに成長と材質に優れ、花粉発生量が少ない特定苗木の供給力アップが課題になっている。同協定に基づき、特定苗木の増産に必要な穂木を国有林から安定的に提供・販売して生産拡大を支援する。

九州森林管理局の局長室で協定締結式を行った(画像提供:九州森林管理局)

協定を結んだのは、大分県樹苗生産農業協同組合(大分市)、熊本県樹苗協同組合(熊本市)、(株)迫田興産(鹿児島県伊佐市)の3者で、来年度(2025年度)から3か年で合計4万8,000本(各年度1万6,000本)のスギ特定苗木を供給する目標を設定した。

西浦国有林内の採穂用ゾーンを「指定採取源」に指定

九州局は、人吉市の西浦国有林にある低コストモデル実証団地に採穂用ゾーン(育種母種林)を設け、特定母樹(県姶良20号)を育てている。10月8日には全国の国有林では初めて、熊本県から同ゾーンが「指定採取源」に指定され、特定苗木の増産に向けた基盤が整ってきている。

九州局と協定を取り交わした3者は、この「指定採取源」で育成された穂木を購入し、特定苗木に育て、まず国有林向けに出荷し、予定本数を超えた苗木については民有林にも販売する。また、効率的に採穂するため、必要に応じて断幹処理を行って複数年活用できる採穂木を仕立てる。

九州局は、協定による苗木生産のサイクルを軌道に乗せることで、特定母樹等の採穂園を持たない苗木生産者の生産拡大などを後押ししていくことにしている。

(2024年11月15日取材)

(トップ画像=九州森林管理局が目指している苗木生産のサイクル、画像提供:九州森林管理局)

『林政ニュース』編集部

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