新潟県は、新たに策定した「森林・林業基本戦略」の目標達成に向けて、今年度(2022年度)から「“つなぐ”プロジェクト」を全県レベルで展開する。県内の30地区で「森林資源活用プラン」を作成し、森林整備や木材利用の拡大などに関係者が一体となった取り組もことへの支援を強化する。
新戦略では、県全体の素材(丸太)生産量の年増産量を現状の1万m3から2万m3に倍増し、県産材製品の年間利用量を2.5万m3から4万m3に増やす数値目標を設定しており、同プロジェクトが“エンジン”となって目指す姿を実現する。
素材生産量の倍増目指し対策強化、「林業成長化対策事業」を創設
同県には、県土面積の約7割をカバーする約85万5,000haの森林があり(全国6位)、その約2割を占める人工林の約7割は林齢45年生以上の利用期に達している。だが、材価の低迷などで林業生産活動が停滞し、1989年度には約64億円あった木材生産額が2018年度には約11 億円と30 年間で約6分の1に減少した。
このマイナストレンドを反転させるため、同県は昨年(2021年)5月に森林・林業基本戦略検討委員会を設置し、計6回の会合を重ねて議論を深めた上で、今年度から2028年度までを期間とする新戦略をまとめた。
新戦略は現状について、「林業関係者間の連携が取れておらず、森林の価値を伝える方法や全体をつなぐための仕組みが欠如している」ことを問題として指摘、一般県民を含めた幅広い関係者が連携して同プロジェクトを実施することで、森林・林業、木材産業の活性化や山村地域の維持・発展が図れるとの方向性を示した。
具体的な取り組み課題として、エリートツリー苗木等を利用した主伐・再造林の推進や高性能林業機械の導入、製材・乾燥施設の拡充、住宅・非住宅分野での県産材利用促進、全国有数の広葉樹資源の活用などをあげており、同県は今年度予算で「林業成長化対策事業」(約1,700万円)を創設するなど支援体制を整えている。
なお、30地区ごとに作成する「森林資源活用プラン」には、素材生産や木材利用、消費者へのPRなどに関する取り組みを明記し、毎年、進捗状況を検証・評価することにしている。
(2022年5月10日取材)
『林政ニュース』編集部
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