ベトナム実習生の受け入れ拡大へ、「高知フォレストパートナーズ事業協同組合」が発足

ベトナム実習生の受け入れ拡大へ、「高知フォレストパートナーズ事業協同組合」が発足

林業・木材産業分野でベトナムからの人材受け入れを拡大するため、高知県内の製材業者らが5月31日に「高知フォレストパートナーズ事業協同組合」を設立した。

同県では、3月に丸和林業(株)(高知市、北岡幸一社長)とベトナム最大手の林業関連企業・VINAFOR社(レ・クォック・カイン社長)との間で人材育成に連携・協力して取り組む協定を締結している。両社は、合弁会社をつくって担い手育成事業を行う検討を進めているが、その前段階として現行の技能実習制度を使ってベトナムからの人材受け入れを関連企業の共同事業として進めることにした。新発足した同協組は、実習生の監理団体となり、講習や生活支援、企業の巡回指導・監督などを行う。

同協組の立ち上げで中心的な役割を果たしたのは丸和林業グループの協同組合丸和林材で、高幡木材センター(四万十市)、(株)中成(高岡郡津野町)、(有)笹岡製材所(須崎市)、(株)ヴェルデ(吾川郡仁淀川町)の4社も発起人として出資した。5月31日の設立総会では、定款や事業計画などを決め、理事長に丸和林材理事の浜田英宏氏が就任した。今後も県内の製材企業などに加入を呼びかけていくことにしている。

「機械製材」での在留3年間を睨んで体制整備、来春に1期生10名招く

丸和林材は、4月から2名のベトナム人実習生を木材産業分野で受け入れている。ただし、現在の技能実習制度では在留期間は1年間しか認められておらず、専門的な技術や知見を習得するには不十分との声が根強い。

高知県は、国に対して外国人材の確保に関する政策提言を行っており、まず林業・木材産業の職種を在留期間3年間の「技能実習2号」に追加し、さらに在留期間5年間の「特定技能制度1号」に指定することを求めている。

中央団体の全国木材組合連合会も、技能実習制度の2号に「機械製材作業(帯鋸・丸鋸)」を追加することを厚生労働省などに要望しており、今年度(2022年度)中の職種指定を目指している。

一方で、現場の人手不足は深刻度を増しており、「『機械製材』の追加が決まってから動き出すのでは遅い。今から受け皿を整備しておかなければならない」(浜田理事長)との危機感から同協組の立ち上げに至った。同協組は、外国人技能実習機構(OTIT)に監理団体となる許可申請を行うとともに、実習生への日本語教育や資格取得など支援体制づくりを進める。来年(2023年)4月には共同受け入れ事業の第1期生としてベトナムから10名の実習生を招き、組合員の5社が連携して実践的な研修・教育などを始める予定。人材育成に要する費用は日本人と同等とするなど、継続的な担い手づくりの基盤を構築することにしている。

(2022年5月31日取材)

(トップ画像=5月31日に高知市内で「高知フォレストパートナーズ事業協同組合」の設立総会を開催した)

『林政ニュース』編集部

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