日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)は、2年ぶりに9回目となる「林業復活・地域創生を推進する国民会議」を10月31日に東京都内のホテルで開催した(国土緑化推進機構が共催)。
冒頭に挨拶した会長の宮下正裕氏((株)竹中工務店特別顧問)は、「林業は、木材の供給はもちろんのこと、新しいビジネスモデルの構築を通じて地方創生などに大きな役割を果たすことができる」との認識を示し、「世界的にも注目されているカーボンニュートラルやネイチャーポジティブの実現に正面から取り組み、日本の林業を次の世代に引き継いでいきたい」と意欲を語った。
続いて、林野庁長官の青山豊久氏と東京大学教授の香坂玲氏が登壇して、「都市の木造・木質化は『クライメイト・スマート』な選択になる」(青山氏)、「ネイチャーポジティブやサーキュラーエコノミーについての認識が深まると『循環に必要なコスト』を反映させた価格での取引が期待できる」(香坂氏)などと基調講演をした。
各地からの報告では、長野県の「木曽谷・伊那谷フォレストバレー」や高知県の「コレモク」、宮崎県の再造林率日本一プロジェクト*1*2などの先進事例が紹介された。
需要拡大・地域創生、山元への資金還流、人材の育成・確保を重視
同会議は、安倍政権時代の2013年に、新日本製鐵(新日鉄)の社長や日本商工会議所の会頭などをつとめた三村明夫氏の呼びかけで発足した*3*4。財界主導で林業を復活させ、日本経済の振興に寄与することを目的に掲げており、ワーキンググループ(主査=鍋山徹・日本経済研究所コンサルティングフェロー)が中心となって活動を続けている。10月31日の会議で鍋山氏は、①需要拡大・地域創生、②山元への資金還流、③人材の育成・確保─の3つに重点を置いて検討作業などを継続していく方針を示した。
(2024年10月31日取材)
(トップ画像=2年ぶりに全体会合を開いた)

『林政ニュース』編集部
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