(後編)デロイトトーマツグループの林業再生構想【遠藤日雄のルポ&対論】

(後編)デロイトトーマツグループの林業再生構想【遠藤日雄のルポ&対論】

前編からつづく)長期ビジョン「JAPAN Forest 2050」*1*2を策定して林業再生構想の実現に踏み出しているデロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、木村研一CEO、以下「デロイトトーマツ」と略)は、先行モデルとなる具体例を創出し、その成果を活かし、地域の課題にも目を配ることで水平展開を促しながら日本林業全体の底上げを図ろうとしている。
同ビジョンに基づいて、すでに2つの先行事例が立ち上がっており、その1つである山形県の白鷹町では、分収林契約地で協働事業「フレンドシップ造林」に着手する段階に入っている。では、もう1つの先行事例とは、どのようなものなのか。そして、今後の展開はどうなっていくのか。遠藤日雄・NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長は、キーパーソンであるデロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社パートナーの北爪雅彦氏と同合同会社マネジャーの鈴木秀明氏との「対論」を深めていくことにした。

福岡県筑前町周辺へ投資する「国内森林ファンド」の組成へ

遠藤理事長

山形県白鷹町で計画している「フレンドシップ造林」は、従来の官主導の分収林ではなく民間主導の取り組みで非常に興味深い。とくに、将来は5~6%程度のIRR(内部収益率)を目指したいという意欲的な目標設定は、国内に約60万haある分収林の経営・管理にも新たな“刺激”を与えるのではないか。
それでは、もう1つの先行事例について教えて欲しい。

北爪パートナー

最初の投資先を福岡県の筑前町と周辺地域一帯とする「国内森林ファンド」の組成を目指している。この地域では、森林所有者などから経営・管理を委託したいという要望が増えてきており、「委託ではなく、所有林を土地・立木込みで購入して欲しい」という依頼も出てきている。こうしたニーズを受け止...

遠藤日雄(えんどう・くさお)

NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長 1949(昭和24)年7月4日、北海道函館市生まれ。 九州大学大学院農学研究科博士課程修了。農学博士(九州大学)。専門は森林政策学。 農林水産省森林総合研究所東北支所・経営研究室長、同森林総合研究所(筑波研究学園都市)経営組織研究室長、(独)森林総合研究所・林業経営/政策研究領域チーム長、鹿児島大学教授を経て現在に至る。 2006年3月から隔週刊『林政ニュース』(日本林業調査会(J-FIC)発行)で「遠藤日雄のルポ&対論」を一度も休まず連載中。 『「第3次ウッドショック」は何をもたらしたのか』(全国林業改良普及協会発行)、『木づかい新時代』(日本林業調査会(J-FIC)発行)など著書多数。

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