次の10年に向け「赤谷プロジェクト20周年記念報告会」開く

次の10年に向け「赤谷プロジェクト20周年記念報告会」開く

群馬県みなかみ町の国有林「赤谷の森」(約1万ha)で2004年度から行われている「赤谷プロジェクト」のこれまでの歩みを総括する「20周年記念報告会」が2月3日に同町カルチャーセンターで開催され、約100人が参加した。

20年間の取り組み成果などを総括した

同プロジェクトは、関東森林管理局と地元住民による地域協議会及び日本自然保護協会が生物多様性の復元や持続的な地域づくりで連携する全国的にも例のない取り組み。成熟した人工林を皆伐して絶滅の危機にあるイヌワシの狩場(餌場)を創出するなど、先駆的な事業を行っている。

報告会では、関東森林管理局が人工林の伐採とその後の植生回復やイヌワシの繁殖状況などについて説明した後、みなかみ町が「みなかみユネスコエコパーク」に登録された経緯や木育・環境教育の実施状況を報告。日本自然保護協会は、企業版ふるさと納税を活用した「みなかみネイチャーポジティブプロジェクト」によって進めている人工林から自然林への転換やニホンジカの低密度管理などに関して解説した。

林業関係者や山岳ガイドなどを交えた意見交換も行い、次の10年に向けて、地域の困りごとや課題の解決に同プロジェクトの知見を活用することの重要性などが強調された。

なお、同プロジェクトでは、これまでの成果を整理し、今年度(2023年度)内に赤谷森林ふれあい推進センターのウェブサイトで公表することにしている。

出島誠一・日本自然保護協会生物多様性保全部長の話「立場の異なる3者が“協働”するためには様々な苦労もあったが、お互いの理解を深めながら続けることができた。『赤谷プロジェクト』の成果を1つのモデルとして、他の地域や国有林にも広げていきたい」

(2024年2月3日取材)

(トップ画像=「赤谷プロジェクト20周年記念報告会」を開催、画像提供:関東森林管理局)

『林政ニュース』編集部

1994年の創刊から早30年! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしていきます。

この記事はフリー会員記事(801文字)です。
フリー会員になると続きをお読みいただけます。
詳しくは下記会員プランについてをご参照ください。