12年ぶりに林業労働力確保基本方針を改正

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林業労働力の確保に関する国の基本方針が12年ぶりに改正される。労働安全対策を強化し、女性や障がい者、外国人を含めた多様な人々が林業で活躍できる方向性を新たに打ち出す。

女性や障がい者、外国人など多様な人々の活躍を支援

基本方針は、1996年に制定された「林業労働力の確保の促進に関する法律」に基づいて、農林水産大臣と厚生労働大臣が定める。基本方針に即して、都道府県知事が基本計画を作成し、林業労働力確保支援センターと認定事業主が各種の支援措置を利用しながら新規就業者の確保・育成に取り組むスキームとなっている。

基本方針が見直されるのは、2010年以来2回目。前回の改正では、林業労働者のキャリアアップ支援などを盛り込んだ。

担い手育成の中核となる認定事業主は2010年の1,904社から2020年の2,234社に増加し、「緑の雇用」事業によって毎年約1,000人が林業に新規就業している。だが、労働災害の発生率は他産業の10倍以上と依然として高く、給与は30代以降で頭打ちとなって全世代平均を下回り(トップ画像参照)、7年目以降の定着率は5割を切るなど、対策を強化すべき点は多い。

そこで今回の改正では、安全装備等の導入促進や通信網の構築などによって労働安全対策を強化することを明記し、森林・林業基本計画が目標としている労働災害半減の達成を目指す。また、女性や障がい者、外国人など多様な人材の活躍・定着を図ることも新たに盛り込む。「新しい林業」の実現に向けたデジタル人材の育成なども重点課題に位置づけ、林業への新規参入や起業を促して、担い手の“基盤”を厚くすることを目的に掲げる。

新しい基本方針は、林政審議会と労働政策審議会分科会での諮問・答申を経て、9月に正式決定される。

(2022年7月10日取材)

(トップ画像=林業従事者の給与・賃金など)

『林政ニュース』編集部

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