2023年度林野庁予算要求は「再造林」と「循環成長」を重視

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政府は、7月29日に来年度(2023年度)予算の概算要求基準を閣議了解し、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」関連政策に重点配分する方針を決めた。これを受け、各省庁は予算要求の内容を固めて、8月末に財務省に提出する。

デジタル林業戦略拠点を構築、「人への投資」も推進

林野庁は、6月7日に閣議決定された「骨太の方針2022」に「グリーン」や「デジタル」、「国土強靱化」などのキーワードが明記されたことを踏まえ、概算要求基準の枠組みをフルに活用して予算要求をする方針。新しい「森林・林業基本計画」で打ち出した施策の着実な実行を目指し、とくに「再造林」の加速化や「デジタル化」の推進に注力することにしている。

公共事業の森林整備事業では、効率的な木材生産や確実な再造林の基盤となる路網整備対策を拡充する。具体的には、市町村森林整備計画で指定する「特に効率的な森林施業を促進する区域」で行われる林道改良工事や、老朽化した林道施設(橋梁・トンネル等)の改良事業に関する支援を手厚くする。同じく公共の治山事業では、引き続き流域治水と連携し、事前防災力の向上や自治体等の負担軽減対策を進める。

非公共事業では、現在実施している「林業・木材産業成長産業化促進対策」を「林業・木材産業循環成長対策」に衣替えして、事業メニューに「再造林低コスト化促進対策」を新設する。川上・川中・川下の一層の連携強化により、森林資源の循環的利用と国産材シェアの拡大を目指す取り組みを支援する。「林業イノベーション推進総合対策」も事業内容を見直して「林業デジタル・イノベーション総合対策」に再編し、新たに「デジタル林業戦略拠点構築事業」に着手する。戦略拠点では、ICT(情報通信技術)などの最新デジタル技術を地域全体で活かすため、異業種とのタイアップなどを進める。また、人材育成対策では、「林業・木材産業における『人への投資』総合対策」として、林業事業体等の経営力強化や林業従事者の給与引き上げなどを支援することにしている。

(2022年7月29日取材)

『林政ニュース』編集部

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