静岡県森林・林業研究センターは、無花粉スギの普及に必要な資金をクラウドファンディングで募っている。都道府県の試験研究機関がインターネットを介して不特定多数の人々から資金調達をする試みは珍しい。同県では、新型コロナウイルス対策など想定外の支出で財政がひっ迫しており、一部の研究で外部資金を活用する方針をとっている。
同センターが実施しているクラウドファンディングは、袴田哲史・森林資源利用課長が中心になって進めている。8月18日(木)までに77万円の資金獲得を目指してスタートしたところ、これまで80万円を超える支援金が集まっている(7月28日時点)。
袴田課長は、1989年に県に入庁後、主に林木育種や育苗、造林などの分野に従事してきた。2008年からは無花粉スギの研究に取り組み、これまでに3品種の優良な無花粉スギを開発している。今後は、無花粉スギの形質評価などを行って、林業用の造林木として普及していくことが課題となっている。このため、クラウドファンディングで調達する資金を使って、育苗資材の購入や種苗生産者への試験生産委託、広報用の動画やパンフレットの作成などを行い、無花粉スギを現場に定着させていくことにしている。
(2022年7月28日取材)
『林政ニュース』編集部
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