(後編)地産地消で熱電併給に挑むフォレストエナジー【遠藤日雄のルポ&対論】

(後編)地産地消で熱電併給に挑むフォレストエナジー【遠藤日雄のルポ&対論】

前編からつづく)フォレストエナジー(株)(東京都品川区、沼真吾・代表取締役社長)は、木質バイオマス発電事業を地産地消型で各地に広げることを目指している。そのためには、電気だけではなく熱も有効利用することが不可欠であり、ヨーロッパから導入したガス化設備を活用した熱電併給システムを普及することに力を注いでいる。すでに和歌山県新宮市や島根県津和野町などでは、同社が手がけた熱電併給システムが稼働をしているが、これをさらに“横展開”していくためにはどうすればいいのか。遠藤日雄・NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長は、燃料材の安定的な供給・調達方法や、それを支える日本林業のあり方を含めて、今後の展開方向を同社の沼社長に聞いた。

日本のバイオマス事業は発電優先、熱利用のインフラが不足

遠藤理事長

ヨーロッパの中山間地域などでは、それぞれの資源事情に合わせた熱電併給事業が活発に行われていると聞いている。なぜ、日本では同様の取り組みが広がらないのか。

沼社長

弊社が取り扱っているガス化設備を開発しているフィンランドやオーストリアでは、電気とともに熱もきちんと使っていくというコンセプトがはっきりしていて、地域熱供給システムなどの社会インフラが整備されている。これに対して、日本の場合は、常に発電が優先されている。極端に言うと、木質バイオマス発電所を建設して電線につなげば、あとは売電価格が保証されているので事業が成り立つという仕組...

遠藤日雄(えんどう・くさお)

NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長 1949(昭和24)年7月4日、北海道函館市生まれ。 九州大学大学院農学研究科博士課程修了。農学博士(九州大学)。専門は森林政策学。 農林水産省森林総合研究所東北支所・経営研究室長、同森林総合研究所(筑波研究学園都市)経営組織研究室長、(独)森林総合研究所・林業経営/政策研究領域チーム長、鹿児島大学教授を経て現在に至る。 2006年3月から隔週刊『林政ニュース』(日本林業調査会(J-FIC)発行)で「遠藤日雄のルポ&対論」を一度も休まず連載中。 『「第3次ウッドショック」は何をもたらしたのか』(全国林業改良普及協会発行)、『木づかい新時代』(日本林業調査会(J-FIC)発行)など著書多数。

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