「土佐材」の利用拡大へ品川区と高知県が協定 内装木質化を進め、中高層ビルの木造化も

「土佐材」の利用拡大へ品川区と高知県が協定 内装木質化を進め、中高層ビルの木造化も

東京都の品川区(森澤恭子区長)と高知県(濱田省司知事)及び高知県木材協会(小川康夫会長)は、3月18日に都市(まち)(まち)の木造化推進法*1に基づく「木材利用促進等に関する協定」を締結した。品川区を建築物等の整備区域、高知県を木材供給区域と位置づけ、「土佐材」(高知県産材)の需要拡大を通じて脱炭素社会やウェルビーイングの実現を目指す。まず品川区内の建築物の木質内装化を進め、中高層ビルなどの木造化にも取り組む。

3者は、3月18日に品川区児童相談所で同協定の調印式を行った。同相談所は昨年(2023年)1月に竣工し、内装(壁面)に「土佐ヒノキ」を約155m2にわたって使用しており、今年(2024年)10月にオープンする。3者の代表らは、協定式に先立って「土佐材」などの地域材を建材や家具に用いている「エコルとごし」(品川区立環境学習交流施設)も視察し、都市部で木材利用を進めることの意義や可能性を確認した。

調印式で挨拶した森澤区長は、「老朽化した区有施設の更新や、新たな区民ニーズに対応するため、様々な施設整備を予定しており、2025年度には『木育』をコンセプトにした在宅子育て支援施設もオープンする。木材と触れ合い、その良さを実感できる機会を広く提供していきたい」と抱負を述べ、濱田知事も、「当県の森林率は全国一であり、独自に環境不動産認定制度*2もつくった。『土佐材』をしっかりと安定供給していく」と意欲をみせた。

深い“つながり”をベースに「良材を率先してお届けしていく」

品川区と高知県との“つながり”は深い。品川区には、明治維新まで土佐藩の下屋敷があり、山内豊信(容堂)や板垣退助の墓所もある。2018年には両区県で産業連携を推進する協定を結んでおり、森澤区長の父方の祖父母は高知県出身という縁もある。

こうした“つながり”を「土佐材」の利活用でどう活かしていくか。調印式に出席した高知県木材協会の小川会長は、「『土佐材』は脂分が多く、内装材として使えば使うほど光沢を増す。耐火材の開発も進めており、高層ビルも建てられるようになる。良材を率先してお届けしていく」との方向性を示した。

(2024年3月18日取材)

(トップ画像=協定書を手にする(前列左から)濱田知事、森澤区長、小川会長)

『林政ニュース』編集部

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