茨城県の北西端に位置する大子町が木造新庁舎の建設プロジェクトを進めている。建築後約60年が経過した本庁舎を高台に移転し、来年(2022年)4月には延床面積約5,000m2の2階建て純木造新庁舎が竣工する。設計は、(株)遠藤克彦建築研究所。事業費は、本体建設工事だけで約21億円になる。
同町は、2018年1月に新庁舎建設の基本計画を策定したが、この時点では構造部分は鉄骨造とし、県産材を内装材として活用することにしていた。しかし、翌19年10月の台風19号で中心市街地が甚大な被害に見舞われたことから計画を見直し、建築地を高台にある旧東京理科大学大子研修センターグラウンドに変更するとともに、県の木造化支援補助制度(「いばらき木づかいチャレンジ事業」)を利用して構造部分も木造にすることにした。
新庁舎は、中央吹き抜け部分に配置された柱と斜めに接合する方杖(ほうづえ)により、樹木が林立しているような大空間ができる。外壁には開口部を多く設え、外からも木が見えるシンボル施設になる。
県産材の使用量は、製材、集成材、BP材など約900m3を予定。この中でBP材は約250m3を梁材として使用する。BP材は、接着剤を使ってスギなどのA材(芯持ち柱角)を重ねて(Piling)、束ねた(Binding)木質材料*1で、中大規模建築物の構造用部材として利用が広がるとみられている。
なお、新庁舎は、使用する木質材料や工法上の工夫、木材利用に関する建築生産システムへの波及性等が評価され、国が選定・助成する「令和2年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されている。
(トップ画像=茨城県大子町新庁舎 内観イメージ、画像提供=遠藤克彦建築研究所)
『林政ニュース』編集部
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