国の公共建築物木造化率が100%を達成 2022年度91棟、内装木質化も増える

国の公共建築物木造化率が100%を達成 2022年度91棟、内装木質化も増える

国(中央省庁)が整備する低層公共建築物(3階建て以下)の木造化率が初めて100%を達成した。

国が手がける低層公共建築物を「すべて木造化する」ことは、都市(まち)の木造化推進法*1の前身である公共建築物等木材利用促進法*2*3ができたときから重点課題になっていた。だが、当初は木造化率が伸び悩み、2013年度は20.3%にまで下落して政治問題化したこともあった*4。

このため、林野庁と国土交通省は、「木造にできなかった理由」を調べて、各省庁に木造への切り替えを働きかける取り組みなどを続け、木造化率が上向いてきた(トップ画像参照)。

林野庁と国土交通省がまとめた最新の調査結果によると、2022年度に国が整備した低層公共建築物のうち木造化されたのは91棟で、前年度より16棟増えた。木造化されなかった公共建築物が12棟あったが、火山地帯に設置した退避壕など機能面から木造化が不可能な施設ばかりであり、今の建築技術等で木造化できるものはすべて木造化できたと評価した。

また、同年度に内装等の木質化を行った公共建築物は194棟で前年度比17棟増、木造化・木質化によって使用した木材量は5,829m3で同283m3増、このうち国産材の使用量は3,989m3で同568m3増といずれも伸びた。

公共建築物等木材利用促進法が2010年に施行されてから14年を費やしたが、ようやく所期の目標をクリアしたことで、“都市の木造・木質化”を目指す取り組みは次のステージに入る。国が整備する公共建築物については4階建て以上の中高層物件で木材利用を進めるとともに、民間建築物の木造・木質化を促すシンボリックなプロジェクトも必要になるとみられる。

『林政ニュース』編集部

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