「高機能化木材」で100年企業を目指す細田木材工業【遠藤日雄のルポ&対論】

「高機能化木材」で100年企業を目指す細田木材工業【遠藤日雄のルポ&対論】

企業の寿命は30年と言われる。それほど時代の荒波を乗り越えていくことは難しい。だがその中で、今年で創業90年を迎えている木材企業が東京・新木場(江東区)にある。1931(昭和6)年設立の細田木材工業(株)だ。北洋材の製材業者として産声を上げた同社は、いち早く木材の人工乾燥に取り組んだ後、ツキ板化粧合板、集成材、フローリング、ウッドデッキへと主力製品をシフトさせながら顧客ニーズに応え、経営基盤を固めてきた。そして今、前面に打ち出しているのが「高機能化木材」の生産・販売だ。100年企業を視界にとらえた同社が描いている事業戦略の核心を知るために、遠藤日雄・NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長は新木場に向かった。

培ってきた技術を投入した「きえすぎくん」がトリプル受賞

細田木材工業に着いた遠藤理事長は、同社の細田悌治社長らに出迎えられ、応接兼展示ルームに入った。そこではレーザー加工機が稼働しており、壁には多摩産材のタイルが貼られ、様々な木製小物が並んでいた。中でも一際存在感を放っていたのが「きえすぎくん」*1。書いて消せる木のホワイトボードとして2017年に発売され、テレビなどマスメディアでもたびたび取り上げられている話題の商品だ。

マーカーや水性クレヨンで簡単に書いて消せる「きえすぎくん」、左側のボードには社員の似顔絵がコミカルに描かれている

遠藤日雄(えんどう・くさお)

NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長 1949(昭和24)年7月4日、北海道函館市生まれ。 九州大学大学院農学研究科博士課程修了。農学博士(九州大学)。専門は森林政策学。 農林水産省森林総合研究所東北支所・経営研究室長、同森林総合研究所(筑波研究学園都市)経営組織研究室長、(独)森林総合研究所・林業経営/政策研究領域チーム長、鹿児島大学教授を経て現在に至る。 2006年3月から隔週刊『林政ニュース』(日本林業調査会(J-FIC)発行)で「遠藤日雄のルポ&対論」を一度も休まず連載中。 『「第3次ウッドショック」は何をもたらしたのか』(全国林業改良普及協会発行)、『木づかい新時代』(日本林業調査会(J-FIC)発行)など著書多数。

この記事は有料記事(279文字)です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
詳しくは下記会員プランについてをご参照ください。