(前編)新たな事業連携を目指す大分県の4森林組合【遠藤日雄のルポ&対論】

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(前編)新たな事業連携を目指す大分県の4森林組合【遠藤日雄のルポ&対論】

森林組合の丸太共販事業が曲がり角にさしかかっている。農林水産省の『木材流通構造調査報告書』で「競(せ)り売(う)り」(=市売)と「競り売り以外」(=直送や協定販売など)の比率をみると、図のようになる。2016年から2018年にかけて、「競り売り」の割合は84.2%から68.5%へ低下したのに対し、「競り売り以外」のウエイトは15.8%から31.5%へアップした。とくに民間の原木市場は、建築用材(A材)は「競り売り」に、集成材・合板(B材)・木質バイオマス発電用・海外輸出用(C材)は「競り売り以外」に回すことで業容を拡大してきている。

一方、森林組合の共販事業は、「受託生産販売」と「競り売り」の抱き合わせを基本としているケースが多い。だが、木材加工工場の大規模化が進む中で、現状維持の姿勢を続けているだけでいいのか。こうした問題意識を共有し、4つの森林組合が「競り売り以外」で連携する動きが大分県で出ている。検討を始めたのは、日田市(日田市)・日田郡(日田市天瀬町)・玖珠郡(玖珠郡玖珠町)・山国川流域(中津市耶馬溪町)の4組合。なぜ今、個々の組合の枠を超えて事業連携に踏み出すのか。その真の狙いを知るために、遠藤日雄・NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長は、日田市に赴いてキーパーソンと向かい合った。

林産事業は受託生産が主体、共販(市売)に加え協定販売

遠藤理事長の呼びかけに応じて集まったのは、和田正明・日田市森林組合専務、梶原大平・日田郡森林組合木材共販所長、小野芳孝・玖珠郡森林組合木材共販所長、河野一郎・山国川流域森林組合参事の4名と、大分県農林水産部の高村秀樹・林産振興室長。遠藤理事長は、早速、問いかけた。

遠藤理事長

はじめに各組合の共販事業の概要について教えて欲しい。

遠藤日雄(えんどう・くさお)

NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長 1949(昭和24)年7月4日、北海道函館市生まれ。 九州大学大学院農学研究科博士課程修了。農学博士(九州大学)。専門は森林政策学。 農林水産省森林総合研究所東北支所・経営研究室長、同森林総合研究所(筑波研究学園都市)経営組織研究室長、(独)森林総合研究所・林業経営/政策研究領域チーム長、鹿児島大学教授を経て現在に至る。 2006年3月から隔週刊『林政ニュース』(日本林業調査会(J-FIC)発行)で「遠藤日雄のルポ&対論」を一度も休まず連載中。 『「第3次ウッドショック」は何をもたらしたのか』(全国林業改良普及協会発行)、『木づかい新時代』(日本林業調査会(J-FIC)発行)など著書多数。

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