山間地の“圏外”を解消、「情報通信杭」でネットワーク構築

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山間地の“圏外”を解消、「情報通信杭」でネットワーク構築

通信機能の付いた作業杭「情報通信杭」を使って電波が届かない“圏外”の山間地でも通信ネットワークを形成し、林業機械の自動化や遠隔操作に道を開く新しいシステムの現地検討会が1月18日に東京都内の森林で行われ、関係者ら約20名が参加した。

開発中の「情報通信杭」

情報通信杭は、通信デバイスやセンサー、バッテリーなどを内蔵しており、インターネットにも接続できる。携帯電話の通信サービスが使えないところでも、情報通信杭を200~300m間隔で地面に挿し、無線によってリレー方式でつなげれば通信ネットワークを構築できる。

新システムでは、情報通信杭を使って通信環境を整備した上で、林業機械に装着した高精細カメラなどの映像をデータ圧縮技術によって伝送し遠隔地からリアルタイムでモニタリングしたり、情報通信杭と衛星を連動させて林業機械の位置測位を高精度で行うことを目指している。一連のシステム開発が進めば、林業機械の遠隔操作や自動運転が可能になるとみられており、1月18日の現地検討会では通信ネットワークを活用できることなどを確認した。

新システムの開発は、林野庁の補助事業(先進的林業機械緊急実証・普及事業)を利用して行われており、山陽商事(株)(兵庫県伊丹市)、(一社)MIKATAプロフェッショナルズ(神奈川県横浜市)、(株)リプロ(岡山県岡山市)、(株)テクノマセマティカル(東京都品川区)、(株)加藤製作所(東京都品川区)が参画している。 製品開発のコーディネートを担当しているMIKATAプロフェッショナルズの小坂幸彦・代表理事は、「通信環境が改善されれば、林業機械の遠隔操作などだけでなく、普段の連絡などもスムーズになるメリットがある。(新システムの構築には)異業種との連携がポイントになる」と話している。なお、新システムは、来年度(2023年度)からモニター導入を開始し、2024年度から月額10万円程度で市販することが検討されている。

(2023年1月18日取材)

(トップ画像=「情報通信杭」を使った新システムの全体イメージ)

『林政ニュース』編集部

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