再造林費を上乗せした価格で民有林の立木を売買するシステムの構築を目指す検討作業がスタートした。来年(2024年)1月には報告書をまとめ、試行事業などを経て、本格実施につなげる計画だ。実現すれば、従来にない「立木市場」が立ち上がることになる。
新たに構想している「立木市場」は、日本林業協会(島田泰助会長)など中央7団体が昨年(2022年)6月に署名した「共同行動宣言2022」で提言していたもので、再造林可能な山元立木価格を実現し、持続可能な林業経営と木材利用を実践する狙いがある。
「立木市場」の創設に向け、林業機械化協会(同)と国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会(同)が林野庁補助事業を活用して有識者委員会(立花敏座長)を設置、8月29日に東京都内で初会合を開き、トップ画像のような仕組みを念頭に、取引に必要なルールや条件などに関する議論を進めることにした。
取引の“場”はインターネット上に設けて森林所有者と需要者のマッチングを促すほか、立木情報の収集や整備ではドローンやGNSS測量などICTを活用して効率化を図り、確実な再造林を担保するため事業者の認定制度を設け、売買された木材にマークをつけて流通段階での差別化を図ることなどが想定されている。
島田会長は、「山元立木価格の決定過程を透明化し、確実な再造林を実施するためのコストを価格転嫁することが大きな目的になる」と話している。
新たな「立木市場」を検討する有識者委員会委員(50音順)
- 佐川賢司・(有...
『林政ニュース』編集部
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