自治体の譲与税活用率上昇、2022年度は80% 基金減少し2023年度は106.8%見込む

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自治体の譲与税活用率上昇、2022年度は80% 基金減少し2023年度は106.8%見込む

総務省と林野庁は、森林環境譲与税の活用状況に関する最新の調査結果(速報値)を8月23日に公表した(トップ画像参照)。昨年度(2022年度)は市区町村と都道府県に合計500億円が配分されたうち、400億円が森林整備費などに充てられ、活用率は80.0%に上昇した。また、今年度(2023年度)の活用予定額は534億円に増え、活用率は106.8%にアップする見通しとなっている。

譲与税の活用状況については、総務省と林野庁が毎年秋に調査結果を公表してきたが、年末に向けて譲渡基準の見直しに関する議論が本格化するため、速報値を前倒しで明らかにした。

2019年度に譲与税が導入された当初は、市区町村の活用率が50%を下回り、基金に積み立てて支出を先送りするケースが目立った。このため、林野庁は、譲与税の活用促進を呼びかけるキャラバンなどを実施し、市区町村の体制整備なども進んできたことで、活用率が上昇してきている。

最新の調査結果から市区町村の動向をみると、昨年度は譲与税の配分総額440億円のうち77.5%にあたる341億円が活用されている。支出目的のトップは間伐等の森林整備関係(割合は79%)、次いで、木材利用・普及啓発(同52%)、人材育成(同35%)となっており、基金に全額を積み立てた市区町村は全体の10%にまで減少している。今年度の予定でも、基金を取り崩して支出に充てることで、活用率は106.1%にまでアップすると見込まれている。

譲与税は、段階的に配分額(譲与額)を増やす仕組みになっており、森林環境税の課税がスタートする来年度(2024年度)からは、市区町村への配分総額が540億円に増える(都道府県への配分総額は60億円のまま)。納税者の理解を得るためには、譲与税という新たな財源を有効に利用していくことが不可欠であり、今後も高い活用率をキープしていくことが求められている。

(2023年8月23日取材)

『林政ニュース』編集部

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