2025年度は約700億円、税収上振れで財源が増える異例の状況
譲与税は、市町村等の体制整備に合わせて段階的に交付額(=譲与額)を増やす仕組みをとっている。
スタートから5年間は地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を財源にしていたが、森林環境税の課税が始まった昨年度(2024(令和6)年度)には同準備金からの支出を300億円に抑え、今年度からは全額を森林環境税で賄う段階に入っている。

一層の活用促進が課題、林野庁は全国キャラバンを実施中
当初の計画では今年度以降の譲与税交付額は600億円で安定することになっていたが、実際に徴税(1人年額1,000円)をしてみると税収が上振れしており、昨年度は602億円を交付し、今年度は689億円に交付額がアップする見込みとなっている。
譲与税については、交付が始まったときから新規財源を余さずに有効活用することが課題となってきた。受け皿である市町村等の対応が順次進んできたことで活用率は2019年度の48%から2023(令和5)年度は93%にまで上昇しており、昨年度は96%へ続伸する見通しとなっている(トップ画像参照)。
ただし、譲与税の交付が始まった頃に基金に積み立てた未執行分も残っており、2023年度時点の累計活用率は73%にとどまっている。
このため林野庁は、6月末から8月上旬までオンラインも含めた全国キャラバンを実施しており、先の国会で成立した改正森林経営管理法の趣旨説明などとともに、譲与税の活用促進を関係者に働きかけている。
林野庁の幹部は、「予算を大きく伸ばすことが難しい中で、譲与税という新しい財源が増えていることをしっかりと受け止め、活かしていきたい」と話している。
(2025年7月14日取材)
(トップ画像=森林環境譲与税の交付(譲与)額と活用額の推移)
『林政ニュース』編集部
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