「中之条町木材活用センター」担う人材募集 月給約40万円、課長級待遇で活躍を期待

群馬県北西部にある中之条町(伊能正夫町長)が「木材活用センター」の新設に向けて、運営の中核を担う人材の募集を行っている。同センターは、廃校した旧沢田小学校の校舎とグラウンドを再利用して、木材加工・チップ生産や「木の駅プロジェクト」などを行うほか、都市との交流拠点としても活用することにしており、2023年度から稼働を始める計画。民間活力を主体に同センターを立ち上げ、町内業者らとの連携を進めながら事業の発展を目指す方針だ。

同センター開設を目指して募集しているのは「地域プロジェクトマネージャー」(1名)。3年任期のフルタイム会計年度職員という位置づけで、月給は課長級と同等の39万3,000円とする。

同センターでの主な業務は、①地元広葉樹を活用した家具ブランド「Nプロダクト(仮)」の創設、②都市住民向けの森林教育プログラム「中之条森の学校」の開校、③林業の担い手を育成する「中之条町林業実践学校」の運営──などになる予定。デジタルマーケティングに強く、対外的に広いネットワークを持つ人材を求めており、同町の担当者は、「町全体の価値を上げられる方に来て欲しい。業務内容はあまり固定せず、できるだけ自由度を高くして、(任期が終わる)3年後には独立もできるようにバックアップしていきたい」と話している。

木材加工・チップ生産を強化、木質バイオマスの熱利用推進

同センターで木材加工やチップ生産などを行う事業者には、公募プロポーザル方式で(株)ユハラ(同町、社員8名)が選ばれた。同社の現在の生産拠点は、河川と県道によって工場や土場、倉庫などが分断されており、効率的なオペレーションが難しいため、同センターに移転して生産体制を刷新する。町の設備分も含め、製材施設や製品保管庫、カースケール、チッパーヤード、サイロなどを新設することにしており、国庫補助金や森林環境譲与税を利用して来年度(2022年度)中に整備する。また、間伐材や林地残材、支障木などを1t当たり5,000円で買い取る「木の駅プロジェクト」の汎用化を図り、町内で伐出される木材を無駄なく有効利用する。2027年度までに、7600m3の原木加工と1,320tのチップ生産を目指す。

同町は、東日本大震災を機にクリーンエネルギーへの転換を進め、すでに太陽光発電所4基と水力発電所1基を建設し、年間約930万kWhを発電しているが、今後は木質バイオマスの活用に力点を移す方針。周辺に大型バイオマス発電所があることから、熱利用に注力することにしており、先行的に同町役場と支所、温泉施設にボイラーを設置し2020年度から稼働させている。ただ、燃料用チップとボイラーとの相性が悪く、不具合が生じるケースも出ている。新設する同センターで、品質の安定したチップが安定供給されるようになれば、木質バイオマスの熱利用が加速するとみられている。

(2022年2月10日取材)

『林政ニュース』編集部

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